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01年10月「指
01年9月「ヒント
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前月入選句発表 お題「 底 」応募309 156人
 





































 


真島久美子 選(入選39
句)          
印は両方の選者から入選した句 
 
   *正座して絶対見せぬ腹の底 芦田敬子
   *職退いてまずは深海魚になろう 柴田比呂志
    プレートの底から響く胴間声 原徳利
   *九条がないと底なし沼になる 吉崎柳歩
   *美容液底の底まで使い切る ホッと射て
    底引きの網にかかった人魚姫 田岡修二
   *熱燗にしてくださいな夜の底 柴田比呂志
   *鍋の底だけは洗ってお正月 児玉 浪枝
    海底にそっと眠っている兵士 翔のんまな
    プライドがまたどん底にこびりつく せきぼー
    胸底の不安にふわり綿帽子 奈良朱雀
    眼底に母の静かな花野あり 佐藤ちなみ
    食い意地の底に戦後の飢えの傷 星野睦悟朗
    ポケットの底は神さまにも内緒 新家完司
    路線図を記憶している靴の底 冬子
    空き瓶の底に説教話かな 都いとり
    呑兵衛が底の一滴ちゅっと吸う 星野睦悟朗
     銃声を逃れて海底に帰る 都いとり
    長靴の底が変わって冬らしき まみどり
    糸底を触って眺め入る茶会 わこう
    即興のピアノ奥底から爆ぜる 佐佐木雀区
    祝福の底のわずかなビブラート 宮井いずみ
    瓶底のメガネが喜劇演じ切る 颯爽
    底なしの沼からは出た膝小僧 浩子
    この空に底があるのか烏泣く こまゆみ
    まだ少しチャンス残っている鞄 上田ひとみ
    海の底見たいと落ちた流れ星 ムギ
    人生の半ばで靴の底を見る 福島亮也
    じんわりと自分に戻る夜の底 まみどり
   *底見せて敵ではないとわからせる 橋倉久美子
    海底のジンベエザメの感嘆符 小谷 小雪
    奈落へと続くスイーツバイキング 平井美智子
    谷底へ炊き出しの列続いてる 尾崎良仁
    好きだった人を探した夜の底 石森あやみ
   *骨壺の底は確認せず入れる 徳重美恵子
    底の底覗いていたらさらに底 藤井康信
秀3  出てこない私の底にある毒素 水谷裕子
秀2  いま底につきましたよと残すメモ ちゅんすけ
秀1*ともだちの声が聞こえぬ冬の底 新家完司  

評      ひらがな表記された「ともだち」に、その関係の希薄さを思う。ともだちの人数を数え
     る指の冷たさは、冬のせいだけではないのだろう。痛いほど寒い冬の到来だ。
     爪先が底に触れたら眠ります             真島久美子
 

 









































 

吉崎柳歩 選(入選39句)
 

    オンラインでは見抜けない腹の底 竹中正幸
   *正座して絶対見せぬ腹の底 芦田敬子
   *鍋の底だけは洗ってお正月 児玉 浪枝
    何回も底値が変わる歳の市 城崎れい
    オール電化で焦げを知らない鍋の底 芦田敬子
    引き出しの底にヒミツを眠らせる 汐海 岬
    靴底を減らして伸ばす棒グラフ 植野悦子
    底辺の汗が支えるトップの座 こやまひろこ
    貧乏で育った母の底力 やんちゃん
    底辺をエッセンシャルと持ち上げる 瀬田明子
    上げ底の幸せらしい青い芝 颯爽
    これ以上沈まぬはずが二番底 山崎三毛
    底冷えの居酒屋猫も寄りつかず よーこ
    人生の底を経験した強み 松本諭二
   *熱燗にしてくださいな夜の底 柴田比呂志
    念のため菓子折りの底確かめる 白鳥象堂
    ポケットの底から逃げた電車賃 龍せん
    接着剤の限界を知る靴の底 加藤吉一
   *職退いてまずは深海魚になろう 柴田比呂志
    底の方に寝てる気がする当たりクジ 北田のりこ
    三合目話の底はまだ見えぬ 澁谷さくら
   *美容液底の底まで使い切る ホッと射て
    ドン底を知った男が締める綱 眞二
    折れ線は今が底だと気づかない 寺井 一也
   *底見せて敵ではないとわからせる 橋倉久美子
    底をつくまでは強気な産油国 西岡ゆかり
    腹の底覗きあわてて蓋をする こやまひろこ
    煩悩が溜まる目の底耳の底 安藤なみ
    引き出しは多いが底が浅い人 あやめみのり
   *骨壺の底は確認せず入れる 徳重美恵子
    竜宮がまだ見つからぬ海の底 西山竹里
   *ともだちの声が聞こえぬ冬の底 新家完司
    煮えきらぬ男豆腐は鍋の底 おさ虫
    金魚鉢の底に沈んでいる孤独 こみち
    上げ底を心地よく聞く披露宴 植野悦子
    上げ底のワタシを隠す初対面 おかの みつる
秀3  軽石の夢海底で眠りたい 田地尚子
秀2  靴底の小石に油断してしまう 平井美智子
秀1  外面と全く違う腹の底 大木雅彦

評      外面(そとづら)がいい人とは、いつも笑顔で誰とでもすぐに話を合わせることができ

   る人のこと。「全く違う」と決めつけたくなる人も多いが、もちろん例外もある。

  *九条がないと底なし沼になる               吉崎柳歩