目次10月号
巻頭言 「 カバー曲と著作権」
すずか路
・小休止
・柳論自論
リレー鑑賞
・例会
・例会風景
・没句転生
特別室
・アラレの小部屋
・前号印象吟散歩
誌上互選
・インターネット句会
・特別エッセイ
みんなのエッセイ
・ポストイン
・お便り拝受
・各地の大会案内
・編集後記

 


たかこ
整理  柳歩

吉崎柳歩
久保光範
 

柳歩
清水信
橋倉久美子
柳歩


浅井美津子
鈴木章照

バックナンバー
21年 9月(189号)
21年 8月(188号)
21年 7月(187号)
21年 6月(186号)

21年 5月(185号)
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21年 3月(183号)
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20年 12月(18
号)
20年 11月(179号)

20年 10月(178号)
20年 9月(177号)
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20年 2月(170号)
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巻頭言


 カバー曲と著作権

 最近テレビのバラエティ番組で、若手のお馬鹿キャラが、昔流行った流行歌を「カバー」してCDを発売したのを聴いた。「ラブイズオーバー(欧陽菲菲)」や、「さよならの向こう側(山口百恵)」などを、本人の歌唱力で自分のものにしていた。 

 これを見ていて、思ったのが川柳での「暗号句」である。無意識なのだろうが、過去の作品と合致したりすると、完全に人のものをそのまま丸写しした(剽窃・盗作)と思われても、仕方がないものもある。これはわかった時点で、速やかに抹消されるべきであるし、そうしてきているようだ。

 ところが、この「カバー曲」にいたっては堂々と、歌詞も作曲もまるきり同じものである。音楽協会のことなど知るよしのない私、ここは、ネット(Yahoo!知恵袋)で調べることにした。気になったことは、過去に流行った曲を使うに当って、それを最初に歌った歌手に、どのような了解を得るのかと、どれくらいの「著作権」を払うのかだ。曲を使用するのに、基本的に本人同意はないそうだ。「JASRAC(日本音楽著作権協会)」に届出さえすればよいそうだ。「著作権」は作詞者と作曲者に「印税」が行ってしまうことでけりがつく。したがって「カバー」して歌う歌手には、利益は少なくなるが、その「印税」の残り分が収入になって、あとは何も問題はないそうだ。

 私ごときがつまらない心配をする必要はなかったようだ。心に残る名曲だからこそ「カバー」され、また違う世代の胸に迫り、歌われてゆく。

 川柳も、心に残る一句が誰にもあると思うが、焼き直しをしたりして発表をしてはいけない。多読を心がけている人は、潜在意識として脳の奥深くもぐりこんで残ってしまい、題詠句などで、引き出してしまうこともあるかと思う。毎日何万句と生まれている、川柳の宿命とは思うが、自分の個性を改めて見直し、常に心して作句をしていきたいものである。

                                                                         たかこ

 

すずか路より
あの頃のままとマドンナ褒めておく 山本 宏
暇どうしメール何度も行き来する 加藤峰子
嫁のおでんにたっぷりと盛る辛子 萩原典呼
リハーサルしても本番には弱い 沢越建志
すぐ家へ帰りたくなるプチ家出 鍋島香雪
ストレスを抜くにはゴルフしか無いな 山本鈴花
幸せの時ちょっとだけ若返る くのめぐみ
裏道をGPSに見張られる 高柳閑雲
帰宅せぬネコに睡眠奪われる 鈴木章照
続いてる友との長い徒競走 青砥英規
若いから勢力地図に入らない 秋野信子
引っ込みのつかぬ舞台に秋が来る 堤 伴久
お買物同伴3Lの柄パンツ 寺前みつる
友愛の御旗が靡く永田町 山本喜禄
夫婦茶碗の位置にこだわるのも愛で 水谷一舟
包丁を研ぎつつ苦い息放つ 加藤けいこ
いつも見るコスモスでさえ旅の花 西垣こゆき
敬老の日孫の手作りカレー食べ 松岡ふみお
本箱が倒れる前に読んでおく 坂倉広美
同意してもらい収める腹の虫 橋倉久美子
早食いで手持ちぶさたなフルコース 北田のりこ
帰途に着く道は夕飯考える 高橋まゆみ
五十肩心ならずも仲間入り 落合文彦
来客へ奮発をした胡蝶蘭 鈴木裕子
金髪も混じる野立ての傘の下 浅井美津子
きらきらと星がきれいな乱視です 加藤吉一
墓掃除今年も汗がかけました 長谷川健一
一つ買い一つ捨てると決めて買う 竹内由起子
ご近所の噂にされるほど通い 水野 二
玉砂利に悲鳴をあげる車椅子 瓜生晴男
よく笑いよくケンカして日が暮れる 安田聡子
温泉に行くしかないな五連休 吉崎柳歩
ときめきを残して降りる観覧車 青砥たかこ
 

整理・柳歩

リレー鑑賞「すずか路を読む」

    
  188号から                                       久保光範

すずか路を拝見して、投句者の多さに驚きました。いい句がたくさんあって選びかねました。

花に水さてわたしには何かしら     橋倉久美子
 
清酒、焼酎、ビール、梅酒、これらの中にきっとあるでしょう。

冗談にしたいカルテにある事実      鍋島 香雪
 
健康そのものと言われている人でも、精密に検査すると色々わかってしまうのでしょうね。
まずいことはすべてジョークと受け取りましょう。

まっすぐなきゅうりで料理されやすい  北田のりこ
 
曲がっていても少々見栄えがよくなくても、農薬を使っていない方がいいという人もいますが、料理するのはまっすぐな方がいいですよね。

雨の午後逢わねばならぬひとがいる   水谷 一舟
 
雨降りにはどこにも出かけたくないですよね。それをどうしても逢わなければというのは、普通の相手ではないですね。意味深長な句です。

めいっぱいハートマークをくれる人   高橋まゆみ
 なんとかして愛情を表現しようとしているのでしょう。
すべて受け止めてあげてください。

ほぼ制覇したこの辺の日帰り湯     吉崎 柳歩
 
制覇についている「ほぼ」と「この辺の」という表現が面白いです。
制覇したわりには近辺に限るようだし、完全制覇でもないし。

楽しめた映画ストレスぶっ飛ばす    青砥たかこ
 
内容はともかく、スカッとする映画ってたまにありますね。
心に鬱積していたものを、吹き飛ばしてくれるような感じのするものが。

                                          (名張市在住)

9月26日(土)例会より
宿題「 怪しい 」 青砥たかこ 選と評
  怪しげな服ポケットが多すぎる 橋倉久美子
  唐草の大風呂敷を持っている 西垣こゆき
 秀 あやしげな手つきで父のフライパン 北田のりこ
怪しげな魅力満載幸(みゆき)さん 青砥たかこ
宿題「 消す 」 加藤峰子 選
  消すことの出来ぬ過去でもいじらしい 加藤けいこ
  仏壇の火が消えるから窓閉める 長谷川健一
 秀 歴史から影を消したらつまらない 西垣こゆき
勘がよく消し忘れから痴話喧嘩 加藤峰子
宿題「 消す 」 北田のりこ 選
  ストレス解消撒き散らす果たし状 坂倉広美
  戻らない覚悟足跡消しておく 橋倉久美子
 秀 種火まで消すからすっと走れない 竹内由起子
消してばかりで名案が浮かばない 北田のりこ
席題「 勝つ 」 清記互選 高点句
 9点 カーテンと風です花びん割ったのは 橋倉久美子
 7点 カーテンは閉めてね月が見てるから 橋倉久美子
  カーテンを引いて娘はもうおとな 坂倉広美
 6点 カーテンを閉めてあなたをボイコット 鈴木裕子
  カーテンもオトコもたまに替えられる 吉崎柳歩
 5点 時々はカーテン欲しい金魚鉢 青砥たかこ
  カーテンで仕切りおんなの園にする 吉崎柳歩
  突然の客にカーテン閉めまくる 加藤峰子」
  官僚の引くカーテンが外される 吉崎柳歩
特別室

口語文芸(2)                                     清水信 

『口語俳句』という雑誌がある。この度その復刊1号が出た。春日部市小渕山下2172まつもと・かずやが発行元である。

 昭和23年、市川一男によって、口語俳句出発の宣言がなされ、その機関誌である『口語俳句』が刊行された。
 昭和42年、その後をまつもと・かずやが継いだ。自分は準レギュラーとして毎号原稿を書いたが、昭和52年、「雑誌の使命は終わった」として休刊になった。そして今回三十余年ぶりの復刊となったのである。

 もちろん、自分も稿を寄せて、まつもとさんは自ら、口語文芸百年の歴史にけりをつけようと思っているのだと書いた。孤軍奮闘といっていい、その長い歴史に共感せずにはおれないのである。口語俳句とは、どんなものか、例を引いて見る。もちろん無季であり、575より句型は必らず長い。

   ・ピアス光らせ戦争は何でもないといいきかせる国
・影が歩くので今日があるこれを誰彼なくみせたくる
・誰かが抑えている宇宙これが不思議と油を出し
・戦前に戻るな赤い実に首振るる冬の日を陰らすな
・君は三十の匂いして表札に女ひとりとかく

(まつもと「昭和拾遺集」より)

 本誌では、まつもとの「山がこころのレジスタンス」や水谷六子句集『まひる』評の他、金子昌熙のハンセン病文学への論考、平岡久美子の「私の句会」と共に「脳トレ川柳から視えてくるもの」という上月大輔の好論がある。

   ・夕ぐれの神田駅のラッシュに大熊手一つどこへいくのか
・戦争か平和かけさの新聞のにおい味噌汁のにおい
・良く晴れた冬の日のつまりは道ばたの紙屑でした

  これらは、水谷の『まひる』の中から選んだ作。山本薩夫の『私の映画人生』(新日本出版刊)の書評に心魅かれるものの、ここには、さらに平岡久美子の近作を拾っておこう。

 ・イマジンを歌う若者のうしろから兵はイラクへ
 ・主婦です赤信号も渡らねば
 ・スーパーの袋あけ生ぬるい暮らしならべる

                                                                 (文芸評論家)

誌上互選より 高点句
前号開票『 早い 』
 1 2 早送りしたいいつもの妻の愚痴 福井悦子
 1 0 開票の途端当確でる不思議 沢越建志
   9 とりあえずチーズかまぼこ冷や奴 橋倉久美子
   夕食のおかずがチンと鳴って出る 山本 宏
    8 自分の字なのに読めない走り書き 北田のりこ
    バス旅行乗ったら直ぐに缶ビール 濱山哲也