目次25年7月号
巻頭言 大会は…
すずか路
・小休止
・柳論自論
川柳・人と句「 寺前みつるさん」
・大会
・大会入選句
・大会風景
特別室
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・インターネット句会
・大会へのお便りその他
・大会案内
・暑中広告
・編集後記

 


たかこ
柳歩整理

柳歩
たかこ



清水 信さん
久美子
丸山 進さん


たかこ
バックナンバー
23年12月(216号)
23年11月(215号)
23年10月(214号)

23年 9月(213号)
23年 8月(212号)
23年 7月(211号)
23年 6月(210号)
23年 5月(209号)
23年 4月(208号)
23年 3月(207号)
23年 2月(206号)
23年 1月(205号)
22年12月(204号)
22年11月(203号)
22年10月(202号)
22年 9月(201号)
22年 8月(200号)
22年 7月(199号)
22年 6月(198号)
22年 5月(197号)
22年 4月(196号)
22年 3月(195号)
22年 2月(194号)
22年 1月(193号)
21年12月(192号)
21年11月(191号)
21年10月(190号)
21年 9月(189号)
21年 8月(188号)
21年 7月(187号)
21年 6月(186号) 
25年 6月(234号)
21年 5月(185号)
 25年 5月(233号)
21年 4月(184号)
 25年 4月(232号)
21年 3月(183号)
 25年 3月(231号)
21年 2月(182号)
  25年 2月(230号)
21年 1月(181号)
  25年 1月(229号)
20年12月(18
号)  24年12月(228号)
20年11月(179号)
 24年11月(227号) 
20年10月(178号)
  24年10月(226号)
20年  9月(177号)
  24年 9月(225号)
20年  8月(176号)
  24年 8月(224号)
20年  7月(175号)
 24年 7月(223号)
20年  6月(174号)
  24年 6月(222号)
20年  5月(173号) 
24年 5月(221号)
20年  4月
(172号)
  24年 4月(220号)
20年  3月(171号)
 24年 3月(219号)
20年  2月(170号) 24年 2月(218号)
20年  1月(169号) 24年 1月(217号)
                         
以前のバックナンバー









 

巻頭言

「大会は…」

 慌ただしいまま始まり、慌ただしいまま終わった第十一回大会。まずはご参加くださった皆様に深く感謝する。

今年の日川協の大会は本州の最北端、青森であった。そこで出会った方が、たった二週間しか経っていないのにたくさん鈴鹿にも来ていただいた。(内心、お互いに物好きねと思っているかも…)

 大会は「お祭り」と割り切って考えたら、気持ちよく集い、楽しく過ごせばいいのである。句も浮かれていてもいいと考えがちだ。だが、それだけではきっと物足りない。そこで、選者さんにひとつの提案をさせていただいた。今回から設けた「初声賞」これは、オープニングにふさわしい句を選出して欲しい。おまけのような、半分ゴマをすったような句が読み上げられがちだがそれはやめて欲しいと。

 大会は「お祭り」だが、句会は真剣勝負である。全没は決まりが悪いし、口惜しさが残る。だが、皆が真剣に出句しているなら、全没も仕方がないと言える。
 大会は「お祭り」である。だからいろんな人と出会って欲しい。人生は短い。出会える人の数は知れている。素敵な出合いをしておおいに語りあいたい。

しかし、大会は参加人数を競うものではない。そして会場の豪華さを見せびらかすものでもない。
 鈴鹿は文化会館が不便なところに建っている。大会の会場になるところがない。東樽さんのご好意で全館貸し切りにしてもらってやっと開催している。スタッフの半分は句会会場に入りきれない。本当に申し訳なく思っている。

 背伸びはしたくないが、精一杯のもてなしの気持ちを忘れたくない。スタッフ全員にその思いが伝わっているのが分かってうれしい。

 大会は、佳句に出会うところ。人に出会うところ。また来年も来たい、来るねと言ってさよならするところだと思っている。

                                          たかこ            

 

すずか路より
ボールペン黒より赤が先に減り 小出順子
いい返事期待を込めて切手貼る 鈴木章照
ヘイカノジョ車椅子から声かかる 青砥和子
来てみてちょう今評判のモーニング 山本 宏
躊躇してばかり飛び込み台の上 高柳閑雲
本音より言い訳さらに見苦しい 川喜多正道
空襲の話などして遠花火      石崎金矢
整体で終わりましたと起こされる 加藤峰子
未練たらしくバックミラーを拭いている 青砥英規
いつまでも甘くはないと夏みかん 尾アなお
ふり向けば母の笑顔がまだ残る 岡ア美代子
美しいこころのままで天に逝く 神野優子
似顔絵の実物以下へ払わされ 寺田香林
午後三時ちらちら過る妻の役 山添幸子
夫婦茶碗夫にぬくい飯を盛る 水谷一舟
北駅で別れたままの夏の朝 加藤けいこ
便利だと買った録画機居間の隅 小川のんの
あなたならできると言った占い師 石谷ゆめこ
エプロンが作る時より食べる時 岩谷佳菜子
親孝行したかどうかと自問する 松本諭二
音信不通携帯電話電池切れ 西垣こゆき
入院にあれこれそれと娘が揃え 松岡ふみお
恋の過去想い出させる花菖蒲 坂倉広美
サイン会までは開いておりません 橋倉久美子
待ちぼうけ見ている駅の大時計 北田のりこ
冗談に本心交ぜておきました 河合恵美子
どの部屋も好き丁寧に掃除する 鈴木裕子
さつま芋食べた戦後を語り継ぐ 長谷川健一
レジ袋ちょっぴり惜しむ五円玉 水野 二
愛犬にも会いたい人がいるらしい 竹口みか子
今日も雨出かける当てもなく昼寝 瓜生晴男
道幅の広い分だけ混む車 加藤吉一
歯ブラシの次の役目は靴みがき 落合文彦
あじさいの心変わりは知れたもの 安田聡子
人間の我がまま盆栽にされる 芦田敬子
花を活け自画自賛する初夏の朝 圦山 繁
ガラス越しみんなが覗く書道塾 鍋島香雪
出し惜しみなんかしません「鈴鹿川」 吉崎柳歩
カバーする強さも少し持っている 青砥たかこ
迷子になる前から付ける迷子札 橋本征一路[招待席]
 

整理・柳歩

川柳 人と句17「寺前みつるさん」                                                                                   たかこ


佛さんのような夫がいいらしい
外側に曲げると折れる指の骨
一枚の葉書の中も冬景色
逢うまえの動悸へくちなしが匂う
どうします桜に愛を問われたら

「人嫌い」という香水をつけている
鍵穴の向こうは仮面舞踏会
目が覚めてここがあの世かとも思う
満開を見ず散り際を見てしまう

いもうとで無い人とゆく映画館
虹消えたように約束破られる
ぼくよりは少し賢い広辞苑
クロネコで来ず絵手紙で来るみかん

読みきって後もそわそわする手紙
ついてきた影が離れたがっている
血圧と妻に機嫌をとって生き
溶けるにも固まるのにもいる時間

爪切れば紅葉の落ち葉踏んだ音
孫はばあばと呼ぶがぼくにはお嫁さん
にんげんの心の裏はごみ屋敷
八十円のツクシが出てる道の駅
少し見栄張って三越から送る

6月23日(日)大会より
事前投句「気楽」 吉崎柳歩 選
 初 気楽にといわれ面接落とされる 大野たけお
 秀 借金を残し笑っている遺影 松谷大気
 秀 手抜きする癖が気楽になってから 森本里陽
 軸 本人は寝ていればいいお葬式 吉崎柳歩
席題「答」 坂倉広美 選
 初 逞しくなったね子らの答えよう 山縣正彦
 秀 違ってるどの答にも顔がある 菱木 誠
 秀 花が散る花が悲しい答持つ 木野由紀子
 軸 まだ出ない答を乗せて終列車 坂倉広美
宿題「残る」(共選) 荒川八洲雄 選
 初 美しき乾杯富士に残る雪 森中恵美子
 秀 余命表時はきれいに食べ尽す 田中五十鈴
 秀 残像が輪郭だけになってゆく たむらあきこ
 軸 借金大国絶滅危惧種だと思う 荒川八洲雄
宿題「残る」(共選) 田中五十鈴 選
 初 遷宮の文化引継ぐ伊勢の国 長谷川健一
 秀 奥さまを大事になあと言い残す 田中豊泉
 秀 生きている証拠に足跡が残る 青砥たかこ
 軸 余命表時はきれいに食べ尽す 田中五十鈴
宿題「今日」(共選) 橋本征一路 選
 初 おでん鍋しっかり今日を煮ています 森中恵美子
 秀 今日というかたちで群れているメダカ たむらあきこ
 秀 今日残すものキャンデーの棒くらい 大嶋都嗣子
 軸 いつも今日からを後半戦にする 橋本征一路
宿題「今日」(共選) 植野美津江 選
 初 世界遺産の今日富士山を仰ぐ 菱木 誠
 秀 完璧を求めて今日がくずれだす 杉森節子
 秀 胸張って真ん中を行く今日の亀 荒川照美
 軸 不名誉な今日と闘う虎の穴 植野美津江
宿題「自由吟A」 新家完司 選
 初 富士山が日本の運気持ち上げる 塚本良子
 秀 孫が来てトルコ行進曲になる 西澤知子
 秀 アルバムを開くと風鈴が鳴った 大海戸 定
 軸 欠伸している間に半年が消えた 新家完司
宿題「自由吟B」 青砥たかこ 選
 初 雨乞いをしたり大雨怨んだり 新家完司
 秀 巣立ちしてほしい甘えていてほしい 山縣正彦
 秀 タコ焼きのようにくるっと丸くなる 北原おさむ
 軸 ひと夏を蝉も蛍も惜しまない 青砥たかこ
特別室

 橋倉久美子の句集                                     清水 信 

 期待久しかった橋倉久美子の句集『だから素顔で』が刊行されて、嬉しい。

 四日市市に文章集団XYZというのがあって、早速その機関紙『XYZ』219号に、感想を書いた。5月末に書いたが、本誌と、どちらが先に活字になるかは、分からない。
 月刊の『XYZ』では毎月、わたしがエッセイのテーマを出題していて、それに添って会員が作品を書いてくれる。そのエッセイや小品を中心に、毎号編集をしている。この号のテーマは「笑いの文学」であったのだ。

 出題の時は、井上ひさし論のつもりだったが、その著書や関連文献を読んでいる内に、凄絶な離婚を扱った文献に突き当って、それを読み返している内に、段々陰気になっていって、初期の目標を変更して、一般的な「笑いの文学」に変更したのであった。
『XYZ』には「川柳は距離の文学である」という自説紹介から、橋倉文学を解明していったが、本誌では直接的に作品に触れたい。

しっぽ振りついてきたのはあなたでしょ
・夫への土産に箱はいりません
・触れるのはよいがさわると叱られる
・結婚のおかげいい姓手に入れる
・夕食に駅弁買って旅終わる
・あきもせず毎日同じふとん敷く
・置き手紙の置き方かなり難しい

 これらの作は夫婦生活に関わりのある作品と言っていいかと思う。

・夫と呼んでいる大切な他人

この一作ほど直接的ではないが、微妙に日常の家庭を描いているように思う。はっきりしないところが、逆に知的なのである。
 第二土曜日に開いている鈴鹿の土曜会へは、彼女も数回参加してくれたと思うが、5月の例会では、「回虫」の話で座がにぎやかだった。水越正明さんがエッセイで昔、海人草をお替りしたという話を書いたからである。『だから素顔で』の中にも、こんな句がある。

・体調がよいのかバリウムがうまい

 三重県生まれの藤田紘一郎は、わざと回虫を、自分の身体の中で飼いならして、日本人の「清潔好き、綺麗好きは病気だ」という説を説いている人だ。「脳はバカ、胃腸は賢い」という珍説も主張している医博である。

                                                                           (文芸評論家)

誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票『 招く 』  応募84句
 1 7  招待状無くても行って良い葬儀 前田須美代
  9  手の位置で誤解を招くエスコート 芦田敬子
    曖昧な返事が招く行き違い 福井悦子
   8  招かれて行けば留守番頼まれる 西垣こゆき
      招かない人も一緒について来る 西垣こゆき
   7 点   来賓の金一封が招かれる 岩田眞知子
   招かない人が最初にやって来る 橋倉久美子
   ライバルの出世祝いに招かれる 吉崎柳歩
   人招くことできれいを保つ家 落合文彦