目次26年5月号
巻頭言 「 十二を考える」
すずか路
・小休止
・柳論自論
川柳・人と句「 前田咲二さん」
・例会
・例会風景
特別室
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・インターネット句会
・没句転生
・ポストイン
・お便り拝受・その他
・大会案内
・編集後記
 

たかこ
柳歩整理

柳歩
たかこ


清水 信さん
久美子
新家完司さん


柳歩
たかこ


 
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巻頭言

「十二を考える」

 早くも来月に迫った市民川柳大会も今年は十二回目を迎える。

 私は数字で遊ぶのが好き。デジタルが普及してから、ふと見た時計が例えば「12・34(12時34分)」と並んでいたりすると、テンションが上がる。数字の語呂合わせも好きで、過去に乗っていた車が、「2038(プレミア)」だったといまだに覚えている。人の車も、語呂合わせが得意である。メモのない状態で数字を覚えるときは、かならず語呂合わせにする。ただし六桁位までである。

 さて、表題の「十二」だが、十二個一組のものというと、まず「干支」「一ダース」と「十二か月」が浮かぶ。ウィキぺディアで調べてみると面白いほど多々ある。

「十二」と聞いたらなにがまず浮かぶか、それによって性格判断も出来そうだ。
 私は「十二単」が一番に浮かんだ。先日開催された三川連の大会は「脱ぐ」の題へ
「一枚ずつ十二単を脱がされる」を出そうかと思ったが、絵空事且つ卑猥(?)なのでやめた。十二単が浮かんだ人は、(過去に戻りたいタイプ)
「十二指腸」は内臓の一種で、指の幅の十二倍に相当するらしい。十二指腸が浮かんだ人は、(細かいことにくよくよするタイプ)
日本のプロ野球は十二球団。なにやら十八球団にすればどうかと国会の話題になるらしい。(熱中しやすいタイプ)
「女子十二楽坊」癒し系の中国古楽器演奏団も記憶に新しい。(ロマンチストかな) 
 シェイクスピアの「十二夜」は珍しい喜劇である。(穴場狙いの得意なタイプ)

と、かなりいい加減な性格判断だが、楽しんでいただけたら嬉しい。

 大会12回という数字に、区切りをもとめるつもりはない。20回までの通過点なのだが、川柳人らしく「語彙」のひとつとして立ち止まってみた。

                                        たかこ            

 

すずか路より
兄嫁は不運続きのままで逝く 加藤峰子
辛夷咲く路地を曲がれば母の影 佐藤彰宏
高齢化記事を読んでる高齢者 西野恵子
傘立てに並んだクエスチョンマーク 青砥英規
渾身の力で掛けている電話 尾アなお
物忘れ自慢しあってどうします 岡ア美代子
仏壇で笑っています三回忌 神野優子
役退いて丸一日が我のもの 寺田香林
儲け話聞かないことにしています 外浦恵真子
本物がそっくりさんにかなわない 瀬田明子
記録会骨身に沁みた実力差 奥村吉風
霊柩車手など振ってはいけません 前田須美代
有名になられた名刺頂いて 水谷一舟
ありふれた名前で医師に間違われ 加藤けいこ
いいでしょう庭にタンポポ咲いてても 小川のんの
先のこと思い煩う歳でなし 石谷ゆめこ
ラフランス聞こえは良いが下膨れ 岩谷佳菜子
同級会若く見えても同じ歳 西垣こゆき
半額の床屋で会話など皆無 松岡ふみお
投書欄たしか末期であったひと 坂倉広美
返信に二円切手が貼ってない 橋倉久美子
寒くても春には春の彩を着る 北田のりこ
古い話だんだん好きになってくる 河合恵美子
縁起いいだけでそろえた赤と白 落合文彦
足の裏ほど敏感でない頭 鈴木裕子
ポケットにあま玉入れる歳となる 長谷川健一
葬儀代保険の満期当てにする 水野 二
見るだけなら簡単そうな馬に乗る 竹口みか子
体育祭はりきりすぎて父転ぶ 岡田たけお
鯨肉を食べられる日はまた来るか 瓜生晴男
いい笑顔悪友らしくない遺影 加藤吉一
うつむいてバイモの花は内気なの 安田聡子
竹の子を食べれば春の音がする 芦田敬子
足腰の痛みを競うクラス会 圦山 繁
もう一人自分の中にいる自分 鍋島香雪
誰よりも私のクセを知るノート 小出順子
一円玉表舞台に立てそうだ 鈴木章照
レッテルは一発芸で吹き飛ばす 青砥和子
神様の気分で止まるルーレット 山本 宏
何となく所在無さげな昼の月 高柳閑雲
安物の買い溜めをして得した気 川喜多正道
頬杖で頭の重さ良くわかる  石崎金矢
紙テープだけ用意する船の旅 柴田比呂志
嬉し泣き何十年もしていない 吉崎柳歩
映画館出るとしばらく浮いている 青砥たかこ
 

整理・柳歩

川柳 人と句27「前田咲二さん」                                                                                    たかこ


嘶いて米寿の喉を確かめる
妻にまだ話していないことがある
天国より地獄の花が美しい
芋焼酎お湯割りぬくい仲間たち
大吟醸やめて地酒にしています

ぬるま湯で世界を溶かす由紀さおり
たてまえと本音が絡むガレキ処理
選挙カー手を振っている振ってやる
美川憲一もついでに落ちました

市役所の電飾税のムダ遣い
庭を一周するとおなかが空いてくる
独りのときぐらいは狂わせておくれ
回覧板くわしく読んだことがない

ゴミの分別はルーズな大阪市
通帳の残高を見たことがない
一人でも並んでいたら並ばない
どこから出たカネかわからず飲んでいる

通り抜けアベノミクスに揺れている
傘寿まで付けた仮面が外せない
降る雪よせめて瓦礫を美しく
大切な人が眠ってから眠る
表札の傾き直し家に入る
 

4月26日(土)例会より
宿題「泣く」 青砥たかこ 選と評
  人前でわめき泣くのもお国柄 加藤吉一
  人前で号泣できぬ日本人 吉崎柳歩
 止 これ以上の武器はなかろと泣いてみる 芦田敬子
 軸 簡単に泣くから薄くなる涙 青砥たかこ
宿題「浅い」(共選) 北田のりこ 選
  経験は浅いが度胸だけはある 青砥たかこ
  浅すぎる皿で不安になるカレー 橋倉久美子
 止 浅くても虹は映せる水たまり 橋倉久美子
 軸 潮満ちるのを忘れ遠浅油断する 北田のりこ
宿題「浅い」(共選) 水谷一舟 選
  洋式バスの浅さ入った気がしない 北田のりこ
  二十センチだって溺れる酔っ払い 川喜多正道
 止 変な夢きっと眠りが浅かった 青砥たかこ
 軸 思慮浅く母を泣かせた淋しがり 水谷一舟
宿題「自由吟」 橋倉久美子 選と評
  みの虫の一人暮らしは楽しそう 芦田敬子
  心から褒めてはもらえない造花 吉崎柳歩
 止 永住したくて鉢の穴から根を伸ばす 北田のりこ
 軸 ブラジャーの紐を見せるというおしゃれ 橋倉久美子
席題「税」(互選)
10点 決めたのは税を食べてる人ばかり 圦山 繁
 8点 ベランダに出て税金を吸っている 橋倉久美子
 7点 どうだってよいものもらい贈与税 青砥たかこ
 6点 納税の額で順番つけられる 芦田敬子
 5点 ゴシップを有名税で消す女優 加藤吉一
  消費税妻の不満がぼくに来る 水谷一舟
  税免除嬉しくはない無収入 西垣こゆき
  税金に一番強い神仏 加藤吉一
 
特別室

 作家・青砥たかこ論(3)                                  清水 信

 遺子、古藤愛子(岐阜県美濃加茂市)より贈られた『川柳の群像』(二〇〇四年二月、集英社刊)を、私は愛蔵している。明治・大正・昭和三代の川柳作家百人を扱った作家論集である。
 元はといえば『川柳塔』に連載した二百二十六人の作家の中から、没後田辺聖子が百人分を抽出したものであって「川柳と川柳作家へのラブレター」と田辺が言うようなものだった。

 東野は一九一四年愛媛県大洲市生まれ。大阪新聞勤務中に応召、満州に渡るが、そこで除隊、現地に留まり、ジャーナリズムに身を置く。月刊満州新京日々新聞、蒙疆新聞で活躍するも、再度応召され、戦地へ。
 戦後引揚げて、また岐阜日々新聞、陶業時報新聞等で活躍した。満州では『東亜川柳』を創刊、『川柳大陸』でも活躍、戦後は麻生路郎の『川柳雑誌』等で活躍した。戦争による隻腕の引揚げ者ということで、親密感を抱いてきたものだ。

 さて、話は変るが、二〇一三年(平成25年)歳末で、あと味の悪さを残した政界の事件といえば、猪瀬直樹の東京都知事の辞任であった。ノンフィクション作家として、彼が地味に書いてきた、次のような作家伝説は、結構自分も愛読してきたからだ。

『唱歌誕生』(島崎藤村と大谷光瑞)
『ピカレスク』(太宰治伝)
『ペルソナ』(三島由紀夫伝)
『マガジン青春譜』(川端康成と大宅壮一)

 これらは仲々面白い読物であった。石原慎太郎の下で副知事になった時、アホんだらと思ったが、その後継指名で都知事に立候補し、史上最高得票で当選した時には、もっとアホやと思ったが、五輪招致のためのリオでのプレゼンテイションでは、全世界のインテリから嘲笑されたが、徳州会からの借金問題で、また史上最短の知事として、辞任となってアホぶりを示した。
 よたよたとした記者会見や議会での答弁は、作家として恥かしい醜態だった。ノンフィクションの弱さを露呈して、フィクションには到底敵わぬことを世間に知らせた。この上は、

『怪物・石原慎太郎の闇』
『徳州会と右翼とわたし』
『五輪マネーの真実』

 の三つの書物を書きのこして、死んでいってほしい。青砥たかこも事実に死なず、フィクションに生きてほしい。

                                                                           (文芸評論家)

誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票『 抜く 』  応募96句
 1 5  メンバーから私を抜くと若返る 山本 宏
 1 4  抜きやすいよう大根にある葉っぱ 橋倉久美子
     正直な人だジョーカー抜いた顔 鍋島香雪
 13    表彰状以下同文と手を抜かれ 山本 宏
   8 点  二枚舌抜くのに閻魔苦労する 瓜生晴男
      ガス抜きも含まれている意見箱 加藤吉一
   6    アルバムの中の一枚抜いておく 小出順子
       波風を立てない様にトゲを抜く 小出順子