目次27年6月号
巻頭言 「 隣の句会」
すずか路
・小休止
・柳論自論「17音と川柳」
・没句転生
川柳・人と句「 三村 舞さん」
・例会
・例会風景
特別室
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・インターネット句会
・ポストイン
・エッセイ・あしあと
・大会案内
・編集後記
 

たかこ
柳歩整理

柳歩
柳歩
たかこ

清水 信さん
久美子

東川和子さん


たかこ


 
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巻頭言

「隣の句会」

 俳句と川柳は、ともに十七音の文芸であるが、俳句の例会はどのように運営されているのであろうか? 「隣の句会」に興味があったので、図書館、ネットなどで調べてみた。
     
@出句 あらかじめ作っておいた、その季節の雑詠(当季雑詠)を、例えば二十〜三十人の句会であれば一人五   句程度を句箋に書いて(無記名)提出する。別に「お題」を指定されていたり席題があれば、それがプラスされ る。 

A清記 幹事は集まった句箋を裏返したままシャッフルし、出句と同数(五句なら五句)を各自に配り、各自はそ れを清記用紙(一枚)に書き写す。清記用紙には連番を振る。これで清記された句の作者は分からなくなる。

B選句 基本的に互選である。清記された用紙の中から、各人気に入った句を別の用紙などに書き出し、用紙番号を振っておく。終わったら反時計回りに右隣の人に回し、左隣の人から回ってきた用紙から同じように選句する。終わったら、書き留めておいた句から決められた選句数(普通五句出句なら五句)に絞り、それを選句用紙に記入する。もちろん自分の句は除く。
  
C披講 全員が選句用紙を提出したら、あらかじめ決めておいた披講者が、@披講者自身A一般参加者B主宰者の選句の順に、選ばれた句を選句者の名前とともに順番に読み上げる。

D名乗り 自分の句が読み上げられたら間髪を入れず名前を名乗る。共感を得た句は何度でも読み上げられることになる。記録係は「正」の字などで得票数を記録する。

E講評 主宰など力量の優れた指導者がいれば、選評、講評などを行い、参加者の意見交換などを行う。

 川柳の、課題吟、個人選中心の例会に比べ、俳句は、あくまで自筆を避けた互選で、各人に真剣な選句を求めている。選句、選評など学習の側面も強い。鈴鹿川柳会では、清記互選での席題で合評に一時間をかけているが、さらに工夫する余地は残されていよう。

                                        柳歩            

 

すずか路より
末代に祟る代物核のゴミ 河合恵美子
寂しげに持ち主を待つ落とし物 落合文彦
天国行きの階段きっと見つけ出す 毎熊伊佐男
道順を聞くとスマホを出してくる 鈴木裕子
沖縄のニュース虚しさ先に来る 長谷川健一
古里はいいな昔の友が寄る 水野  二
辞めるから言える言葉もあるだろう 竹口みか子
主役にはなれぬ私は付け合わせ 瓜生晴男
思い出せぬ五輪誘致に負けた国 加藤吉一
クラス会化けるだけ化け行ってみよ 安田聡子
歯並びを自慢したくてよく笑う 芦田敬子
型破りなくて停滞する会社 圦山 繁
もう少し粘れば掴めそうな運 鍋島香雪
欠点と思っていたら褒められた 小出順子
くよくよを断ち切るようにジャンプ傘 鈴木章照
ピエロには般若の顔はできません 高柳閑雲
改憲を憂う陛下のご発言 川喜多正道
不参加のゴルフも天気気にかかる 石崎金矢
字余りがいよいよ鼻に付いてくる 柴田比呂志
靖国の桜は父の色で散る 竹内そのみ
三泊目とうとう家が良いと言う 加藤峰子
離れない蝶は娘の化身にも 西野恵子
雨からの招待状が届くころ 青砥英規
たとう紙に亡母の香り着物干す 外浦恵真子
娘を誉める娘の姑にただ感謝 寺田香林
ゴムまりに似ている大リーグ青木 西山竹里
諸事情があって崩れやすい豆腐 尾アなお
ひとときのゆとり畑で草を抜く 岡ア美代子
失敗と大失敗は違います 上村夢香
積ん読に『火花』もひとつ仲間入り 神野優子
二人の娘からふたつの花束が届く 前田須美代
大欠伸して薫風を食べている 栗田竜鳳
叱ることなかった母の忍の文字 水谷一舟
新築のくもの巣今日もとりはらう 小川のんの
亡き父母に兄が逝ったと手を合わせ 石谷ゆめこ
恥ずかしげスポーツブラを付けた孫 岩谷佳菜子
九人兄妹残り四人でする法事 西垣こゆき
医師の前少し卑屈になる患者 松岡ふみお
空席を探して雨の日を歩く 坂倉広美
こいのぼりの形で干してあるズボン 橋倉久美子
負け試合応援団も倍疲れ 北田のりこ
廃業をしたらますます忙しい 吉崎柳歩
着たい服着やすい服に負けている 青砥たかこ
 

整理・柳歩

川柳 人と句40「三村 舞さん」                                                                                  たかこ


ちゃっちゃっとお昼をすませ午後にする
忠告をしてもらえない頑固者
音痴だと言われて音痴だとわかる
欠ける月そして必ず満ちる月
歳とってまだ魅力増す樹木希林

トンネルに必ずついている出口
救急車が無料のすばらしい日本
寺の鐘秋には秋の音がする
ふたりがいいな車のそうじするときも

ロボットは手を振らないと歩けない
京の寺観光客のためにある
消しゴムを使う時にもいる両手
日本を美しくする真夏の田 

梅干を口移ししたことがある
人生をつまらなくする割れぬ皿
お誘いを断るともう遊べない
目の部分くりぬいてある鬼の面 

私らしく生きよう五十九の決意
妹を思い続ける 秋の天
眠れない人には分かる不眠症
コンビニの光頼りに離婚する
どの鏡見ても元気のない鏡
 

5月23日(土)例会より
宿題「保証」 青砥たかこ 選と評
  太鼓判は押すが押さない保証印 加藤吉一
  保証書はついてないけど茄子の花 橋倉久美子
 止 保証などしてたらできぬコマーシャル 吉崎柳歩
 軸 保証書はないが私は私です 青砥たかこ
宿題「戻る・戻す」(共選) 小川のんの 選
  口紅を落としわたしをとり戻す 青砥たかこ
  物忘れに元の位置まで戻される 加藤吉一
 止 元の場所に戻ると記憶蘇る 西垣こゆき
 軸 あのケーキ食べる前には戻れない 小川のんの
宿題「戻る・戻す」(共選) 加藤吉一 選
  忘れ物取りに戻れば遅刻する 橋倉久美子
  ほっとしたところを襲う揺り戻し 吉崎柳歩
 止 脱ぎ始めたら戻れないヘビの皮 橋倉久美子
 軸 七十年戻れば見える焼野原 加藤吉一
宿題「自由吟」 吉崎柳歩 選と評
  即答を求められてる解説者 北田のりこ
  しわのあるお札通らぬ券売機 小川のんの
 止 同窓会握手しながら見る名札 圦山  繁
 軸 弔辞ではもう意味のない褒め殺し 吉崎柳歩
席題「落ちる」(互選)
 9点 谷底に落ちるとあきらめる帽子 吉崎柳歩
 8点 落とし穴深く掘りすぎ戻れない 青砥たかこ
  散歩するスピード落ちる花畑 小川のんの
 7点 落ちるかも知れぬと鳥は考えぬ 西垣こゆき
 6点 落ちる前はじけてしまうシャボン玉 小川のんの
  砂時計ただひたすらに落ちるだけ 青砥たかこ
  審判も一緒に探すコンタクト 吉崎柳歩
  コマーシャル程落ちてくれない風呂の黴 圦山  繁
特別室

 商業主義批判                                      清水 信

 生涯、新聞、雑誌(とりわけ同人雑誌)を偏愛してきたので、それらに信頼を失うような状態になることには、耐えられない思いがする。
 しかし、何であれ、棄てたり見放してはならぬ。この連載、これまでの二回を一月に書いたが、二月一日の中日紙には、久しぶりに「特報」のヒットがあり、「新聞の戦争責任」を衝いた一ページがあって、溜飲を下げた。軍部が言論機関を完全に支配下に置くことで、新聞は弱腰になり、真実を伝える勇気を失っていったが、今や商業主義がその替りとして、ジャーナリズムの前面にはだかっている。経団連などと組んで、広告を載せないぞと圧力をかければ、広告費が経営の大半を占める新聞や商業雑誌は、いっぺんに萎縮してしまう。

 それに加え、法規の節度や、言論の抑制を先行させようとする、ある種の勢力が暴威をふるい始めると、とどまることを知らぬ時流となり、国家総動員法のまかり通った時代になる。同人雑誌など、またたく間に迎合体質になってしまう。
 同日、くしくも名大教授、愛敬浩二があえて「私もシャルリである」というエッセイ(中日新聞を読む)を寄せていて、これに共感した。

『川柳塔』の1050号を見ると、「第20回川柳塔まつり」の特集号で、その会での記念講演をしている木津川計の「文化人とは誰を言うのか」の速記が掲載されていて、仲々の硬骨漢ぶりに感心した。
 90周年ということで、大阪のホル・アウィーナ大阪には416名が参加という賑いだったという。三重からも『川柳すずか』の吉崎・青砥両氏の参加があった。北海道から沖縄に至る作者の多さに、川柳人口の立派さが感じられた。
 願わくば、「表現の自由」の場として、柳誌を死守して欲しいと考える。

 編集後記に「地域の軋みが聴こえる日々」とあるが、「人類の軋み」や「言論の軋み」も聴える時代である。
「川柳は丸腰の文芸」という言葉(織田正吉)もあり「川柳ではメシが食えない」という言葉もあるが、食うために文学をやっている人など、どこにもいない。表現の情熱は、そんなものとは違う。

「柳多留250年」と銘打った『川柳マガジン』164号も、編集部から送ってもらった。第6回川柳文学賞を得た「第三の男」の阪本高士の人と文学の在り様を特集している。
 250年記念の会は8月22日、東京上野の東天紅で開かれるという。イスラム国のテロ攻勢に対して「それでもユーモアは世界を救う」と言い切ったマリー・ダリュセック(仏)の説に、私は同調する。

                                                                            (文芸評論家)

誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票 『早い』  応募88句
 1 4  ドラマほど早くは来ない救急車 青砥たかこ
   食べるのが早くて暇なフルコース 橋倉久美子
 1 2  注文の前に早さを聞くメニュー 西野恵子
 1 0  お早めにどうぞと軽くせかされる 橋倉久美子
   9  早いはず全部チンして出るおかず 水野リン子
   8  すぐ済んだ手術に初期か手遅れか 水野リン子
    7  告白にごめんなさいが早過ぎる 西垣こゆき