目次28年11月号
巻頭言  「彼岸花」
すずか路
・小休止
・柳論自論「韻文としての川柳(下)」
・没句転生
・人と句(追悼・水谷一舟さん)
・例会
・例会風景
特別室
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・インターネット句会
・ポストイン
・エッセイ・あしあと


・大会案内
・編集後記


たかこ
柳歩整理

柳歩



たかこ
清水 信さん
久美子
川喜多正道





 
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巻頭言

「彼岸花」

 交換誌から「ポストイン」コーナーへ句を選ぶとき、十月号は「リオ」の話題が満載でした。編集の都合上ちょうどこの時期になって、もうすっかりあの異常だった暑さを忘れていることにも気付かされます。

秋盛り、休耕田を利用してコスモスが大流行りしています。私の散歩コースにも見事に広いコスモス畑があり、道行く人の心を癒しているようです。
 春は「さくら、」初夏の「紫陽花」夏の「ひまわり」、そして冬の「寒椿」と俳句に限らず、これらの花が季節の顔して、どこの近詠も賑わしています。

 さて表題は「彼岸花」。真っ先に秋を知らせてくれる花です。十月号から少し抜粋してみました。

忘れずに律儀に咲いて彼岸花    小寺八重子
あぜ道がお似合いですね彼岸花   銭谷まさひろ
地下茎で来世をつなぐ彼岸花     河畠美智子
彼岸花咲いた道行く墓参り            田中 咲子
メラメラと燃え出す想い曼珠沙華   佐々木やす葉 
彼岸花薬袋にある一錠        山部 牧子
魔性の朱いえ祈りの朱彼岸花    庄司登美子
酒呑めば亡父の十八番曼珠沙華   六田 半徳
ふる里の墓石と語る彼岸花           松田 栄香
にごらない空を見上げる彼岸花   大島 凪子
彼岸花花輪で赤い亡母の顔                伊佐ろう梅
彼岸花赤子抱く手に幽匂う            清田 洋子
秋晴れに赤が目を引く彼岸花    竹口みか子
墓参り模様が変わる彼岸花           水野  二
お彼岸はすぐと知らせに彼岸花   橋倉久美子
台風にもまれがんばる彼岸花    橋倉久美子 

 ヒガンバナはヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草です。クロンキスト体系ではユリ科。球根は宿根・多年草。「リコリス」の和名です。花言葉は、色別もあるが『情熱』『独立』『再会』『あきらめ』など多くあるようです。句にもあるように墓のそばに群生するため不吉な花とされています。また名前は数えきれないほどあるようで、興味があれば書き出されるといいと思います
 
                                            たかこ            

 
すずか路より
マニアックなツアーお客もマニアック 岩谷佳菜子
断捨離ができずに狭い部屋で寝る 石谷ゆめこ
書き終えてあなたに似合う切手貼る 西垣こゆき
ネコブームが続くあいだはネコでいる 坂倉広美
供養だと言ってやっぱり飲んでいる 橋倉久美子
あっさりと活けて趣ある茶花 北田のりこ
もてなしに秋はおはぎという文化 河合恵美子
正しいと言うには覚悟いる時代 落合文彦
おいしさは何を食うより誰と食う 毎熊伊佐男
三食を刺身メインにして飽きず 鈴木裕子
縁起良い我が家の家紋九枚笹 長谷川健一
腰痛へ揉む貼る飲んでまだ痛む 水野 二
撫でている痛いと言えぬ犬のため 竹口みか子
紅葉の便りに疼く旅心 瓜生晴男
部屋割りの幹事鼾は考慮せず 加藤吉一
この辺で箸をおこうとしても駄目 安田聡子
ロボットの涙もいつか見るだろう 芦田敬子
紳士服着れば紳士になれますか 圦山 繁
レガシーに振り回される東京都 千野 力
泣き虫のままで終わってなるものか 鍋島香雪
宇宙人みたいな友と喫茶店 小出順子
聞く耳はあまり持たない歯医者さん 鈴木章照
善人の汗を吸いとる伏魔殿 高柳閑雲
白髪でも生えているから有り難い 川喜多正道
白髪染めいつやめるかが難しい 石崎金矢
まだ生きています三文判を捺す 柴田比呂志
車間距離信号守るのも夫婦 竹内そのみ
最強の睡眠薬である電車 樋口りゑ
淋しいか暇すぎるのか長電話 加藤峰子
高望みおよし鏡を見てごらん 西野恵子
いつか逝く夫婦心の準備する 寺田香林
忘れたい記憶ばかりがよみがえる 瀬田明子
出身校以外は歌えない校歌 西山竹里
カラオケに腰痛バンドお供する 岡ア美代子
合掌はしたって僕は祈らない 日野 愿
焼くほどに思いをよせる恋心 竹原さだむ
持ち慣れたのは縫い針よりも注射針 澁谷さくら
鰯雲人には言えぬ夢を持ち 神野優子
ありがとうと言って静かに消えた人 上村夢香
迷惑も他生の縁にしておこう 佐藤近義
ふる里へ続く道です萩すすき 前田須美代
タマゴ産め産めと鶏舎に夜がない 栗田竜鳳
温泉の帰りに寄った姉の墓 吉崎柳歩
言われたら怒る言わなくても怒る 青砥たかこ
 

整理・柳歩

川柳 人と句 55 「追悼・水谷一舟さん」                                                                           たかこ

水谷一舟氏への追悼句(到着順)

恋歌が一番似合う一舟さん         佳菜子
また一人消えてしまった色男        りゑ
星になり愛と母の句詠んでいる       繁
一舟の舟を天女がお出迎え         こゆき
一舟でございましたと幕を引く       久美子
「いっしゅ〜う」の呼名が耳にまだ残り   柳歩
一舟さんの息が聞こえる白子駅       峰子
一舟さんの姿、川柳忘れない
         みか子
去って行く舟へ呼名を真似てみる      竹里
恋の句で沸かせあなたは若いまま      裕子
一舟ううううっの呼名おかざきまで届く   比呂志
積年の愛の句光る舟の波          吉一
一舟さんのバックボーンに「母」と「恋」  のりこ
好きなこと続けて悔いのない最期      正道
「いっしゅうーっ」と一声風靡した句会   伊佐男
天国でもダンス575のリズム       敬子
あの世でも一舟さんは恋してる       力
天国で川柳塾を期待する          二
天国の美人と一緒千の風           ゆめこ
地上でも天国もまた愛の園         進
一舟さんあなたの呼名忘れない       順子
趣味に生き恋風香る十三夜         健一
冥途でも女性虜にする芸を         晴男
艶の句とカメラと消えた一舟さん      ふみお
川柳界 一舟さんの灯が消える       たかこ

10月22日(土)例会より
宿題「濁る」 青砥たかこ 選と評
   泥水を飲ませた秘書を切り捨てる 圦山 繁
   研ぐ水を濁らせ旨み増すお米 圦山 繁
 止  濁ったらソプラノ歌手と名乗れない 西山竹里
 軸  美しい湯を濁らせて入る風呂 青砥たかこ
宿題 共選「根」 加藤峰子 選
   都会から嫁が農家に根を下 す 水野 二
   根っ子には境界線が見えてない 岩谷佳菜子
 止  球根の苦労を知らぬ花と蝶 加藤吉一
 軸  几帳面ほったらかしの彼岸花 加藤峰子
宿題 共選「根」 西山竹里 選
   竹の根がじわり浮かせた家の基礎 川喜多正道
   根っこには境界線が見えてない 岩谷佳菜子
 止  台風が来ると緊張する根っこ 吉崎柳歩
 軸  地表には決して顔を出さない根 西山竹里
宿題「自由吟」 吉崎柳歩 選と評
   ぼかしてはいるが隠してなどいない 毎熊伊佐男
   たっぷりとはさまれ食べにくいサンド 北田のりこ
 止  かけ湯して礼儀正しく入る風呂 西山竹里
 軸  ノーベル賞わたしだったら辞退する 吉崎柳歩
席題「歌・唄」 清記互選 高点句
 9点  ひとりでは盛り上がらない応援歌 吉崎柳歩
   カラオケの練習場になる車 竹口みか子
 8点  腹黒い人も歌っている聖歌 西山竹里
 6点  懐かしい歌に華やぐケアハウス 川喜多正道
 4点  あの頃にすぐに還してくれる歌 吉崎柳歩
   歌わねばとてもいえない恋の歌詞 北田のりこ
   採点に納得しない歌自慢 川喜多正道
   遅れても鼻歌まじりやって来る 西垣こゆき
特別室

 きついところ                                    清水 信

『川柳ジャーナル』119号(昭和4811月刊行)に、私は「現代川柳管見」という一文を書いている。その頃この雑誌は、

・編集人は石田柊馬(京都右京区梅津)
・代表者は小泉十支尾(静岡市丸子)
・発行人は河野春三(高槻市竹の内)
・発行所は京都市南区・宮田あきら

 という風で、全国的な規模を示していたが、原稿依頼は時実新子から来た。

 私の文章のタイトルは「生きたいか」であった。巻頭に2段組4ページで収められたが、後記で石田柊馬が自分の文中にある「今、川柳はきついところに来ている」という言葉を引いて「つくづく思うのは、他ジャンルへの眼を、今の川柳界がほとんど持っていないこと」への打撃として読んだと書いている。
 同誌に並ぶエッセイとしては、

・時実新子の「青鬼とわたし」
  草刈蒼之助集批判。
・石田柊馬の「細田洋二作品集紹介」と「あすも恥も」草刈蒼之助批判。
・山村祐「選について」思うこと。
・奥田都指王「前号評」
・石田柊馬「柳誌月評」
・宮田あきら「事務局だより」

 などであり、作品発表の6ページより多い紙面を使っている。その頃、時実は姫路市鍵町40に住んでおり、自分とは書信の往来があった。私は河野春三と松本芳味に関連して論を進め「川柳とは、プロレタリアの短詩である」という松本説に共鳴を示している。
 時実は「新子川柳の何が地獄だ。くそくらえ、御本尊はのうのうと暮し、旦那と子供があって、何が地獄だ」という私信を引いて、その書き手の草刈蒼之助(岐阜)を斬りまくったエッセイ。

美文捧げまつる精神的娼婦
   これは時実の句。姫路の喫茶店で泣きながら河野春三と草刈蒼之助に示したことがある。二匹の鬼はうすら笑いをしたという。「お前の悪は、せいぜいそんなものか」と言いすてた。

・ははの湖水すみトンボとまれり  青鬼
・仏骨の寒々とあり酒を煮る     赤鬼

 時実の怒りは、この男たちの抱くコンプレックスは、その自負心の裏返しにすぎないと断じ、「一見幸福そうに見える女」の中に巣食う地獄が見えないか、小憎らしい怠け者めと叱っている。

                                                                      (文芸評論家)

誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票 『 いよいよ 』  応募92句
 1 9  いよいよの時では詠めぬ辞世の句 吉崎柳歩
 1 2   心電図波が平らになってくる 北田のりこ
 1 1  いよいよの時にかぎって入る邪魔 澁谷さくら
   9  CMを入れいよいよをはぐらかす 橋倉久美子
    8点  月満ちていよいよ母となる覚悟 河合恵美子
     冷蔵庫時々変な音がする 福井悦子
     五割引いよいよ店を畳むのか 芦田敬子