目次29年1月号
巻頭言  「新年句会の風景」
すずか路
・小休止
・柳論自論「袋(封筒)回し」
・没句転生
・人と句(小林祥司こさん)
・例会
・例会風景
・インターネット句会
特別室
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・エッセイ・あしあと
・大会案内
・年賀広告
・編集後記

たかこ
柳歩整理

柳歩



たかこ

清水 信さん
久美子
柴田比呂志さん





 
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巻頭言

「新年句会の風景」

 皆様 あけましておめでとうございます。

 新年句会は、いつもの句会と違ってチョッとだけ楽しみたいものです。鈴鹿川柳会では、十一時から幕の内弁当をいただきながらひとりひと言スピーチをしてもらいます。そのあと、ぜんざいをみなさんの「マイお椀」で食べていただきます。

ほろ酔いの人もいますが、宴たけなわでお開きとなりそのまま句会に入るのです。

私が鈴鹿川柳会に入った頃は、今の席題の代わりに面白いことをしていました。それぞれが句箋に上五音の言葉、中七音の言葉、下五音の言葉を二句分ずつ書いて上五は上五の箱に入れます。全員が書き終わったら、それをよくシャッフルして、全員に二句分ずつ戻します。そして一人ずつ読み上げ(披講)ていきます。偶然に川柳味たっぷりの名句が生まれたりして会場は大笑いの渦となりました。いつの間にかこの余興(?)はやらなくなって、今度は折句での互選となりました。

ちなみに「ねずみ」の最高得点句です。

年収をずばり聞いてる見合いの娘 竜子

私が会長になってからも、折句での互選は続きましたが、宿題だったため欠席投句も受け付けたので入選句を発表誌に載せきれなくなり、現在の出席者のみの席題互選となりました。

昨年から「印象吟」を始めました。たまたま愚息の絵があったのでそれで作句してもらいました。なかなかバラエティーに富んだ句が出ました。今年も「印象吟」での席題互選とする予定です。題材はまだ決まっていません。数点準備して当日のお当番さんに選んでいただきましょう。

昨年の忘年句会の宴会後に、よそから仕入れた「封筒回し」なるものがたいそう面白く、いろんな遊び方があるものと感心しました。(P10柳論自論参照)。遊びで川柳をするのはどうかなと思いますが、川柳で真剣に遊ぶのならたまにはいいかなと思いました。

                                       たかこ            

 
すずか路より
三十回以上噛んでる小さい胃 鈴木裕子
演歌でも唄って宇宙ひとっとび 長谷川健一
熱愛は人目を避けることもない 水野 二
帰りたいという思いだけ託す文字 竹口みか子
七十七歳をケーキが祝う誕生日 瓜生晴男
名前負けさせたもんじゅの命名者 加藤吉一
お正月大きなお鍋出番です 安田聡子
売り出しのチラシにつられ蟹を買う 芦田敬子
貧乏神だけはしてよい寝正月 圦山 繁
旧友にシャイと言われたクラス会 千野 力
B面の方に魅力のあるおんな 鍋島香雪
太陽にいつも負けてる霜柱 小出順子
親の顔見たいきらきらネームの子 鈴木章照
睨めっこでは負けられぬ笑い皺 高柳閑雲
鏡見て切るのは難しい眉毛 川喜多正道
名所ではないが一本いい銀杏 石崎金矢
飛行機雲のようには書けぬ一行詩 柴田比呂志
師の訃報舞い込み絶句する師走 竹内そのみ
クリスマスケーキも寿司も要らぬ年 樋口りゑ
二次会の倍は楽しい三次会 加藤峰子
日捲りと時々会話する余命 佐藤千四
本人もびっくりしてる突然死 西野恵子
寝付き良く咳き込む夫知りもせず 寺田香林
いくらでも眠れた頃が懐かしい 瀬田明子
真っ直ぐでなければならぬ滑走路 西山竹里
師や友の訃に涙する兄も逝き 岡ア美代子
マラソンのスタート焦ることはない 日野 愿
躓いた石を踏みきり板にする 澁谷さくら
温泉にゆずはなかった冬至の日 神野優子
階段をひょいと跳んだら外科医院 佐藤近義
優しい街の優しい風とハイタッチ 前田須美代
転た寝をしそうビデオに録っておく 岩谷佳菜子
帰り道電光飾に癒される 西垣こゆき
散歩道ハチの選んだ道にする 松岡ふみお
アクセルをためらっている喪中です 坂倉広美
亡き人が横で笑っている写真 橋倉久美子
トンネルを出るたび変わる冬の空 北田のりこ
迷い道迷ってみたい好奇心 河合恵美子
嫌いとは言えず手が出てもらう飴 落合文彦
あれこれと勘繰り出すと腹が立つ 東海あつこ
酉年の鳥インフルは願い下げ 毎熊伊佐男
喪中でも忘年会は外せない 吉崎柳歩
元旦に届いてこその年賀状 青砥たかこ
 

整理・柳歩

川柳 人と句 57 「小林祥司さん」                                                                           たかこ


光ってる没句に重い蓋をする
馬鹿な役いつも演じる苦労人
恋の彩混ぜても出せぬ絵具皿
ドラマにも歌にも出番ある小指
睨んでるカメラにらんで下ろす金

傷口にうっかり触れてから誤算
出欠は脚の痛みに問うてから
旅先の荷物にならぬ五七五
非力だがわたくしなりの矢を放つ

病んで知る歩いて行けるありがたさ
霧晴れてハートマークが光り出す
賛成をせよと目配せ飛んでくる
博識がさらりと書いた字が読めぬ

ヘソクリへすぐに手を出す浪費ぐせ
海外の客もみている異人館
怖いもの無くなりました七十五
八十路へと5年日記にペンを執る

ライバルの悔し涙で描いた虹
怒ってるように根を張る夏の草
満ち足りたオンナ男のタイを選る
渋滞の中に幸せある帰省

50年過ぎて夫婦の彩になる
ちょっとだけ気になる人の呼名聞く
ずるずると深みにはまるお人よし
浮かれてはおれぬ受験の孫が来る

 

12月23日(金・祝)例会より
宿題「枠」 橋倉久美子 選
   履歴書の枠外にあるお人柄 小川はつこ
   ボクサーの二人リングを逃げ出せず 天根夢草
 止  丸い枠からはみ出さぬお月様 小出順子
 軸  酒代は別にしておく予算枠 橋倉久美子
宿題 共選「売る・売れる」 高柳閑雲 選
   マスクしていても気になるレジの咳 加藤吉一
   売るルートあるから盗む高級車 加藤吉一
 止  ダイソーのレジが一番混んでいる 鈴木裕子
 軸  建売に秘密も詰めてパッケージ 高柳閑雲
宿題 共選「売る・売れる」 石崎金矢 選
   皮肉にも閉店セール売れに売れ 加藤峰子
   二月でも少しは売れる日記帳 吉崎柳歩
 止  余っても安売りしない年賀状 吉崎柳歩
 軸  売れっ子になると人生難しい 石崎金矢
宿題「自由吟」 天根夢草 選
   面白いから戦争は止められぬ 高柳閑雲
   友達が死んで近付く黄泉の国 西垣こゆき
 止  煙突が無いと寂しい火葬場 石崎金矢
 軸  人を噛むために生まれてない蝮 天根夢草
席題「洗う」 清記互選 高点句
15点  嘘ついてきた日は念入りなうがい 青砥たかこ
14点  ぞんざいに洗ってしまう足の指 天根夢草
11点  洗ったら落ちるていどの僕の罪 吉崎柳歩
 8点  汚染水洗った水も汚染水 吉崎柳歩
 7点  寒がりの親父の墓はお湯をかけ 石崎金矢
   八十路坂そろそろ罪を洗おうか 鈴木章照
   髪洗う人はまずない露天風呂 橋倉久美子 
特別室

 新年                                         清水 信

 『川柳塔』の536号は、新年号である。創刊大正13年で、これは昭和47年(一九七二年)の、正月号になるわけだ。俳句や川柳の結社誌では、正月には会員同士で挨拶を交したり僚誌に挨拶を送ったりして、印象の良い習慣だと思っている。この一冊もそうだ。

 巻頭に松原泰道の紹介する釈宗演の座右銘が書かれている。「客に接するは、独り居るが如く、独り居るは、客に接するが如し」
 勿論、その意は客に接する時には、ゆったりと和やかにして、独り家に居る時は前に客がいるように、身をつつしんで緊張を忘れぬな、ということだ。

・他人顔で芽出度仕切るお元日
・武家屋敷に似た元日の昼の町
・今年も無事に枕木の役果しけり

 中島生々庵の正月詠である。

 新春詠「ゆーもあ特集」と、ねずみ年らしく「ねずみ大行進」という特集詠が組まれている。ねずみは、そんなに好かれぬ動物だが、ねずみ年の人ならではの、「キライではない」という説が多い。動物漫画ではミッキーマウスなど、愛嬌のある主人公になっているのだから、現実のねずみにこだわることもあるまい。
 「ユーモア特集」は柳誌としては、あらずもがなの企画だと思うが、同人が挑戦した作品の幾つかを拾ってみる。

・背のびしたままで蛙が男まし
・拝観料取ってそこから靴脱がす
・胃袋で薬同士がもめている
・だまされておこう可愛い嘘だから
・応援に入歯も飛んだホームラン
・半身は穴に隠して蟹の恋
・長男も嫁の実家のそばで住み
・強盗と見破れなんだ自動ドア
・スタミナが夫に欲しいとろろ汁

 こういう作である。作者名は略するが、健闘してはいる。東野大八が「梁上の君子」というエッセイを書いていて、やはり若い頃の満州・思い出を書いていて懐しい。中国では昔、壁の土が落下してねずみになるのだと、信じられていた。

 発明国である中国では、ねずみも君子として親愛の情を寄せていた。

 さて、二〇一六年(申)は、戦後が戦前になったうっとうしい年だが、二〇一七年初頭、とりは川柳に、なりやすいかどうかを問いたい。垂井葵水の作で結ぶ。

・メンドリが告げた被害がまだ続き

                                                                      (文芸評論家)

誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票 『 代表 』  応募90句
 1 4  代表ではないのでラフな服で行く 橋倉久美子
   9   代表は雑用ばかり趣味の会 石崎金矢
   8  未知数の代表が振る星条旗 岩田眞知子
     代表は以下同文と読まれない 川喜多正道
    7  近頃は嫁が代表する家族 福村まこと
     便宜上会にひとりは代表者 青砥たかこ
     教室で騒ぎ僕だけ立たされる よしひさ