目次29年3月号
巻頭言  「清水先生」
すずか路
・小休止
・柳論自論「上句の字余り(上)」
・人と句(たむらあきこさん)
・例会
・例会風景
・没句転生
・インターネット句会
特別室
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・ポストイン
・エッセイ・あしあと
・大会案内
・編集後記

たかこ
柳歩整理

柳歩
たかこ

たかこ
柳歩

清水 信さん
久美子
岡本 恵さん





 
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巻頭言

「清水先生」

 突然の訃報だった。奇しくも携帯を一念発起してスマホに替えた日、ショップでアドレスなどの移行中の報せだった。
 享年九十六歳は何があってもおかしくない年齢だった。知らない人は「大往生」と思われるだろう。清水 信(まこと)先生は、二月七日その生涯を閉じた。
 視力も聴力も全然衰えを知らず、入院経験は、亡くなる前の数日のみ、脳の萎縮も少なく肌年齢も六十歳前後だったそうだ。

「青砥さん、川柳すずかになにか書かせて、もちろん謝礼はいらないよ」と、耳を疑うようなことを言われたのは、平成十五年の終わり頃だった。願ったりかなったりのことだた。平成十六年一月号「特別室」が開設された。その時の出だしである。
「おサルの話」      清水  信
『文芸は一生勉強である。たとえ道は狭く山は低くても、目標は遠い。勉強を怠けるものには、その山頂さえ見えないのだ。かって歌誌(角川『短歌』や『抒情派』にも、俳句の雑誌(『口語俳句』や『菜の花』にも書き、今も詩誌(『葦』など)にも連載エッセイを書いていて、川柳の雑誌にだけは何も書いていないので、日頃愛読している『川柳すずか』に今回からエッセイを連載させてもらうことになった』と、ある。

今月号一五九回まで一度の遅稿もなく、丸十三年間、多くの著書の紹介や、短詩系文学へ熱い思いを語っていただいた。
 今年に入って一月十一日、文芸賞の選考委員会で「原稿まだあった?」と聞かれ「もう一回か二回あると思います」と答えたのだが、顔色もよく本当にお元気だった。だけど昨年秋ごろから急に体力、気力が落ち、気弱になられることもあったようだ。最後は、なんと戒名も準備されていたとか…。心からご冥福を祈りながら、長い間お世話になったお礼を申します。

ありがとうございました。合掌。

                                       たかこ            

 
すずか路より
大雪に自宅謹慎させられる 千野 力
終章で試されている夫婦愛 鍋島香雪
帰りたいホームの母がそっと言う 小出順子
ウソ少し混ぜて空気を温める 鈴木章照
塗りたてのペンキ私が消えている 高柳閑雲
三分で使命を果たす砂時計 川喜多正道
ステーキが期待外れのチェーン店 石崎金矢
心音もやや膨らんでいるさくら 柴田比呂志
家族皆好きな事して生きている 竹内そのみ
舵を切るあえて嵐の来る方へ 樋口りゑ
引き際の美学描いて役受ける 加藤峰子
英語でも日系人にゆるむ息 福村まこと
重いほど嬉しい孫を抱いたとき 佐藤千四
恋多きおんな自負して独り老い 西野恵子
新しいシーツで泊まる娘宅 寺田香林
老人も歩きスマホは追い越せる 瀬田明子
ビギナーズラックとはいえ取った賞 西山竹里
ほめすぎが気に入らないと低気圧 岡ア美代子
観光の行事に長けた東大寺 日野 愿
知恵の輪がひとつほどけてひらく道 澁谷さくら
面接の結果がこないどうしよう 竹原さだむ
春一番足止め食らう羽田発 神野優子
がんばれと言わない友がそばにいる 上村夢香
清流にたまに住みたくなるドジョウ 佐藤近義
受けてもやろう幸せになる礫なら 前田須美代
宅急便主より早い土産物 岩谷佳菜子
男には知られたくない化粧順 西垣こゆき
倍返しそれでは済まぬ孫のチョコ 松岡ふみお
立ち読みをするため持ってゆく眼鏡 坂倉広美
真夜中の電話にはないよい知らせ 橋倉久美子
拝まれてほほえみ返す地蔵さん 北田のりこ
就活と終活ひとつ屋根に住む 河合恵美子
ランキング確かめていくラーメン屋 落合文彦
けんかして他人行儀の次男坊 東海あつこ
何もない場所でつまずく長い脚 中川知子
独り身へ忍び笑いで迫る毒 毎熊伊佐男
目に楽な句集を持って行く目医者 鈴木裕子
水仙が色を忘れず顔を出す 長谷川健一
もうすぐ春とあじさいの芽も顔を出す 竹口みか子
寒風に妻の手編みが暖かい 瓜生晴男
未だいい方と介護自ら慰める 加藤吉一
どなたにも迷惑かけずひとり言 安田聡子
作りすぎたカレー夜昼夜と食べ 芦田敬子
春風が冬眠中の田を撫でる 圦山 繁
行き先は自分で決める馬の脚 吉崎柳歩
梅便り冬が居座らないように 青砥たかこ
 

整理・柳歩

川柳 人と句 59 「たむらあきこさん」                                                                            たかこ


(たむらあきこ千句)から

てのひらのつめたさ一錠の静止
ふうせんは骨になっても夢をみる
刹那だとしても白さをいとおしむ
引き金をポストの中に入れてきた
ことばになるまでの時間が蹲る
とんがったところを脱いで明日にする

生煮えの芯に迷いがあるらしい
真っ白な紙からにんげんになった
詩の断片のようなさくらが降っている
人間の砂漠にんげんを咲かす
ぬかるんでいる歩いてもあるいても
桜闇の向こうに棲んだままの父

まだ夢を齧り続けているのです
まずそうは読めぬと指摘されている
会えばまた砂吐き合っている仲間
はなびらのほどけるようにいなくなる
したたかに他人で致死量のことば
婚姻という難しい箱を出る

振り向けばいつも小さな守備範囲
弥勒菩薩のいつも受容というかたち
面取りをしてから風が掴めない
かさぶたの下の声から春になる
密談を仕立てているらしいみかん
ジグソーパズルの最後を風が埋めてゆく

定価 1600円+税   発行所 新葉館

 

2月25日(土)例会より
宿題「連続」 青砥たかこ 選と評
   連続をすると大吉おそろしい 坂倉広美
   メビウスの輪に閉じ込めてある無限 橋倉久美子
 止  掛け直してもおんなじ声で違います 加藤吉一
 軸  十五年連続胸を張れますね 青砥たかこ
宿題 共選「外す・外れる」 川喜多正道 選
   バス路線外れてもいい回送車 吉崎柳歩
   どれひとつ外したくない予定表 鈴木裕子
 止  町はずれここからですと書いてない 圦山 繁
 軸  沖縄を外し平和を謳歌する 川喜多正道
宿題 共選「外す・外れる」 鈴木裕子 選
   これ以上外すと罪になるボタン 橋倉久美子
   勲章を外した肩の骨が折れ 坂倉広美
 止  沖縄を外し平和を謳歌する  川喜多正道
 軸  外せない母の形見の腕時計 鈴木裕子
宿題「自由吟」 吉崎柳歩 選と評
   ビールにも金曜日にもプレミアム 芦田敬子
   客が来るつもりで買った蟹残る 西垣こゆき
 止  大好きな人が時には大嫌い 西垣こゆき
 軸  ペースメーカーはメダルを狙えない 吉崎柳歩
席題「濃い」 清記互選 高点句
 9点  内容が濃すぎてみんな寝る講座 坂倉広美 
 7点  6Bで書いてやる気を見せておく 吉崎柳歩
 5点  濃い墨で書いてしまったお香典 川喜多正道
 4点  カップのふちに証拠を残す濃いルージュ 北田のりこ
   新しいマジックだから濃くなる字 吉崎柳歩
特別室

 多行川柳                                         清水 信

 従う者はすべて消耗品である。抗う者こそ真の創造者である。
 そんなことは分かっていても、非常識を貫くことは、至難の業である。また書くが、市川一男の主導する『口語俳句』という句誌に、ずっとレギュラーとして執筆していた自分は、口語で書く俳句に心を寄せることが多かった。

 その頃(昭和48年)埼玉県新座市に住む松本芳味から川柳句集『難破船』を送られた自分は、早速新聞に批評を書いたが、世間の反応は毀誉褒貶あい半ばしており、評価もまちまちだった。
 思いつきと言えばそれまでだが、川柳を三行にわかち書きするというのは、啄木の歌のような形式執着でしかないという批評であったが、普通の柳誌では目立つだろうし、頁数を沢山使うので迷惑でもあったろうし、ハタ迷惑でもあったろうと思う。その非常識を貫くところに、松本の意地があったろうと自分は評価した。

 稲ぜんめつ
 百姓土下座しても
 駄目だ
         これなんか「水戸黄門」だと思ったし、
 無医村の
 露天に晒す
 生身の墓
         も、プロレタリア文芸でしかないと思ったが、
 ベトナムの
 少年が持つ銃に
 惹かれる
         などは、時代をとらえている印象である。
 難破船が
 出てゆく丘の
 ひそかな愛撫
         シンボリックな抒情詩でもある。

 松本は他にも一行川柳や四行川柳を書いている。現代の松本評価が、どこにいっているかを、自分は知らないが、一行川柳の信奉者にも、多くの影響を与えたのではないかと思っている。金子兜太は、次の作品が好きだという。

 闇にある鈴
 今日があるのも
 狂ゆえに

                                                                       (文芸評論家)

誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票 『 冷える・冷やす 』  応募98句
 1 4  寒い夜もやはり冷やして飲むビール 石崎金矢
 1 2   雪の日は冷えた朝刊配られる 西垣こゆき
     もう少し冷やした方がいい地球 西山竹里
 1 1   冷やされるまで本物でない冷酒 西山竹里
 1 0点  冷や飯になってもうまい里の米 小出順子
    9     カイロではどうにもならぬ愛の冷え 鍋島香雪
    8点   家計簿を冷やして孫達は帰る 佐藤千四