目次29年4月号
巻頭言  「忖度社会」
すずか路
・小休止
・柳論自論「上句の字余り(下)」
・没句転生
・レクイエム
・例会
・例会風景
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・インターネット句会
・ポストイン
・エッセイ・その他
・大会案内
・編集後記

柳歩
柳歩整理

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巻頭言

「忖度社会」

 森友学園への国有地売却や私立小学校認可に絡む異例な取り扱いについて、安倍昭恵夫人、すなわち安倍首相、安倍政権への「忖度」がなされたかどうかで国会やマスコミが揺れている。
 
 「忖度」という言葉は、早くも今年の流行語大賞にノミネートされたと言ってもよいだろう。「忖度」とは、広辞苑には「他人の心中をおしはかること。推察」と簡潔に書かれているが、「斟酌」や「気遣い」とは違う。士農工商の封建時代から現代社会まで、日本の庶民は権力者の意向を汲み取って、自分や自分たちだけは生き残ることに神経を使ってきた。日本は今も「忖度社会」である。
 年金世代はもちろん、現役の会社員や自営業者だって、思い当たることはいくらでもあるだろう。組織における上位の者の意向を汲み取ることは悪いことではないが、自分の意見や社会正義に照らすことなく動くことは好ましくない。問題になっている「忖度」とは、悪い意味での「忖度」である。

 昨年の五月、「川柳なごや夏の大会」で共選の題の選者を務めた。それまでも共選の題の選者を務めたことはあるが、一方の選者に自分の句を出句しない、というのは初めてであった。作句はして行ったが、もちろん主催者の意向であるから出句はしなかった。
 ところが同年八月、「めいばん」の句会でも共選の題の選者を務め、相手方の選者にも出句したのだが、愛川協の意向に従って、入選は無効とされたのである。そして先月、尾張旭川柳同好会30周年大会においても、愛川協の方針に沿って出句しないということであった。選者室で同席した前・愛川協会長の松代天鬼氏と、そのことで少しお話したのだが、出句しない根拠は必ずしも明確ではなかった。

 川柳は選者すなわち作家、作家すなわち選者である。これこそ庶民の文芸たる川柳の面目躍如というものであろう。「忖度」が一人歩きをするのも日本社会の特徴である。 (私の推察で書いてしまった部分は削除させていただきました。故人には謹んでお詫びいたします)   

                                        柳歩
            

 
すずか路より
雲の上飛んでも酒を飲んでいる 高柳閑雲
楽譜から離れ心の歌になる 川喜多正道
四重奏ひとり美人が入る華 石崎金矢
風を描く人間ほどに不確かで 柴田比呂志
おーいお茶幸福ごっこしています 竹内そのみ
夢に見る母は昔のままである 樋口りゑ
嫁夜勤育児上手になる息子 加藤峰子
日本から独立したい名古屋人 福村まこと
栄転だいや左遷だと縄のれん 佐藤千四
お雛さま今年も飾り独り住む 西野恵子
ETCゲート上がると青い空 青砥英規
久しぶり義姉らと楽しフルコース 寺田香林
旅立ちに末期の酒をふくませる 瀬田明子
私人では乗れない政府専用機 西山竹里
挨拶を交わすラッシュの旅カバン 岡ア美代子
妻は居ず花の便りもひとり聞く 日野 愿
見渡せばこんなにもある春のいろ 澁谷さくら
追い込みをかけて感じる底力 神野優子
直球は黙って受けるだけでいい 上村夢香
春らしい服を着ているおばあさん 佐藤近義
転がって今日の予定を確かめる 前田須美代
信号待ち橋の名前を読んでみる 岩谷佳菜子
壊された廃屋誰も気にしない 西垣こゆき
今日もまたあなた任せで生きている 松岡ふみお
言い換えができる言葉を探す辞書 坂倉広美
車窓から見ればお墓の多いこと 橋倉久美子
音のない音して割れるシャボン玉 北田のりこ
少子化に少し淋しいお稚児さん 河合恵美子
変な汗まだ続いてる更年期 東海あつこ
夢希望言葉に出して叶えよう 中川知子
胸騒ぎ杞憂に終わることがない 毎熊伊佐男
すき焼きをする家にいる高齢者 寺前みつる
少子化で老人ばかりたむろする 長谷川健一
話しかける勇気も出せず帰宅する 竹口みか子
春を待ち三寒四温耐えている 瓜生晴男
矢印の先が見えない長寿国 加藤吉一
あき姫と紅ほっぺとを食べ比べ 安田聡子
ウォーキングで人より早く四季を知る 芦田敬子
口喧嘩敬語もどきも混ぜてする 圦山 繁
目覚ましの前に目覚めるゴルフの日 千野 力
満開の春を待ってる車椅子 鍋島香雪
長いこと居ても短い里帰り 小出順子
桜散るときも優雅なバレリーナ 鈴木章照
安倍さんの詭弁にもあるリフレイン 吉崎柳歩
飛び散らぬように切っても消える爪 青砥たかこ
 

整理・柳歩

 「レクイエム」                                                                                           たかこ


 
久美子さんも「アラレの小部屋」で取り上げられている「特別室」一五九回分の寄稿文を全部読み返してみた。レクイエムにふさわしいものをここに取り上げてみる。あと、二・三再掲したいものがある。機会があれば掲載したい。

 『特別室 R「死の句」より』                               清水信

 三重県川柳連盟刊行の『創立三十周年記念誌』〔平成十七年四月刊〕には、驚いた。その豪華な本の造り(赤い表紙など)にもびっくりしたけれど、内容の充実さも比類がない。とりわけ会と各地区各結社の史的総括がしっかりしていて「保存版」にふさわしいとさえ思えた。

 句作のほうは一ページお二人という組み方で、一人五句という規制がなされていて、各グループ五十音順(イニシャル)の配列で、これもすっきりしている。

 しかし、鑑賞者の勝手で言えば、詩と死ということで、短詩型文学の最もストレートなテーマは「死」だと思っているので、作者の老若男女の如何にかかわらず、五作も出すのだから一つくらいは「死」が詠われていなければならぬという気がある。

「逝く」とか「去る」とか「悼む」とか「喪」ではなく、じかに「死」という文字が入っているのが良い。

脳死宣言ぐらいに死んでやるものか」(水谷一舟・四日市)はダブルで入っていて、一寸やりすぎ。

〈青砥たかこ・鈴鹿〉
たいくつという言葉から死語になる(この死も人の死と同じだ)
〈橋倉久美子・安濃町〉
あんな死ならいいなすとんと麻酔効く(すとんがいいな)
(そあ・四日市〉
死ぬ前にたくさん得たい生きる刻(「そあ」というペンネームが気に入りましたね。「たくさん」が若々しいね)
〈宇田和代・伊勢市)
死にたいと言ってる人もすぐ逃げる(そんな奴、多いよな)
〈岡山武夫・松阪市〉

一枚の葉から読み取る死生観
(あの童話はよかったな)
〈柚原久延・松阪市〉
死ぬまでに本を整理しておこう(整理しようとしまいと、死ねば本はゴミですな、現在は)
〈村山 了・四日市市〉
戦場で死ねば戦死になりますか(イラク派兵に問う)

  そっ気ないし余情もない「死」という単語が、思い入れを薄くして、使えるようでなければいかん。冗談半分と思って貰っても良いのだが、川柳の生命は、乾いた文字がどれだけ使えるかで決まる。
                                            (文芸評論家)

 清水先生が逝去されて、やがて二か月。風はまだ冷たいが、桜の開花宣言があちらこちらで聞こえる。

         

3月25日(土)例会より
宿題「悔しい」 橋倉久美子 選と評
   難問の目処ついたのに時間切れ 北田のりこ
   ミニパトに乗ってる人は悔しそう 岩谷佳菜子
 止  負けたって悔しくはない睨めっこ 吉崎柳歩
 軸  慰められよけい悔しくなってくる 橋倉久美子
宿題 共選「 点 」 北田のりこ 選
   追加点もう取らなくていい余生 吉崎柳歩
   点と点丸く繋いで円にする 加納明美
 止  先生に点をつけてもいい生徒 吉崎柳歩
 軸  句読点の場所を変えたら謎が解け 北田のりこ
宿題 共選「 点 」 圦山 繁 選
   あせってる人の言葉にない句点 小川はつこ
   句読点の場所を変えたら謎が解け 北田のりこ
 止  人文字の点の部分に立っている  青砥たかこ
 軸  自己評価甘い加点が止まらない 圦山 繁
宿題「自由吟」 青砥たかこ 選と評
   太刀持ちの太刀は抜かれることがない 吉崎柳歩
   気が付けば埋め戻せない年金差 加藤吉一
 止  酒こぼし猫より上手く舐めている 加納明美
 軸  忙しいけれどお誘い待つ花見 青砥たかこ
席題「 窓 」 清記互選 高点句
 8点  窓側の席から埋まる指定席 芦田敬子 
 7点  窒息をせぬよう柩にも小窓 橋倉久美子
 5点  窓開けて良い話だけする会議 芦田敬子
   体当たりしてから気付くガラス窓 加納明美
   軋む窓なだめるコツを心得る 北田のりこ
   窓を開ければ隣の家の窓がある 小川はつこ
 
誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票 『 眠る 』  応募96句
 1 4  眠らせる時間もつくるいいガイド 加藤吉一
 1 3   眠りたい人がたくさんいる始発 橋倉久美子
   9点    助手席で眠れる妻の信頼度 西垣こゆき
   8点  考えるうちにロダンは眠りこけ 坂倉広美
   新年の誓いが眠り出す二月 西山竹里
    暖冬のせいで眠りが浅い熊 橋倉久美子