目次26年8月号
巻頭言 「 歴史と教訓 」
すずか路
・小休止
・柳論自論「岸本水府論(下)
・没句転生
川柳・人と句「北山まみどりさん」
・例会
・例会風景
特別室
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・インターネット句会
・ポストイン
・お便り拝受・その他
・大会案内
・編集後記
 

柳歩
柳歩整理

柳歩
柳歩
たかこ


清水 信さん
久美子
丸山 進さん


たかこ


 
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巻頭言

「歴史と教訓」 

 「歴史は繰り返す」これが古代ローマの歴史家クルティウス・ルフスの言葉というから驚く。しかし、第三次世界大戦が勃発すれば核戦争になり、人類は滅亡してしまう。人類はそこまで馬鹿ではないだろうから、そろそろ戦争の歴史が繰り返されることはないだろうと思っていたが、ちょっと甘かったようだ。

 日本が戦争に負けて、もう戦争はしないという憲法を制定したのは、たかだか六十八年前である。昨今の安倍政権のやり口を見ていたら、既に戦前の日本の歴史を繰り返しつつあるように思える。世代が変われば、歴史からの教訓も忘れ去られてしまうのは避けられないのだろうか?        

母の祖母の話母から聞いている 柳歩

 題が「歴史」の課題吟であれば、(祖母の祖母の話祖母から聞いている)にしたほうが面白いだろうが、この句は事実である。課題詠の場合、「嘘のようなホント、ホントのような嘘」は許されると思うが、課題に乗じての「嘘ごと川柳」を、私は潔しとしない。 私の出身地は山口県であるが、母は子供のころ柳井市に近い寒村に住んでいた。母の祖母、つまり私の曾祖母が子供の頃、友だちが遊んでいてうっかり侍の刀を蹴飛ばしてしまった。手討ちにされたら一大事と、母親が平謝りに謝ったら、「よかよか」と言って許してくれた、という話である。

 この話を聞いた時、私は中学生だっただろうか? 新選組や高杉晋作、薩長連合のことは漫画や教科書で学んではいたが、どこか別の世界のことのように思っていた。歴史的事実に連動して今があることを、実感として受け止めたのは、この時が初めてである。

 あと十年もすれば、原爆や空襲その他、悲惨な戦争を実体験した人は殆どいなくなる。マルクスは「歴史は二度繰り返す。最初は悲劇として、二度目は喜劇として」と言ったが、救いようのない喜劇の幕が上がっている。

                                         柳歩            

 

すずか路より
ひさびさに会う子の髪に白いもの 加藤けいこ
トンネルの中できしんだ風の音 小川のんの
この道もいつか子どもが通る道 石谷ゆめこ
早業の料理文句も言いそびれ 岩谷佳菜子
眼鏡取り顔を眺めるのはやめて 西垣こゆき
消毒のスプレー効くも木を枯らす 松岡ふみお
未決済の箱に溜まってゆくあした 坂倉広美
持続力ないが瞬発力もない 橋倉久美子
夏なのに便座がオンになっている 北田のりこ
待つ人はいないが「ただいま」と帰る 河合恵美子
裏口と呼ばれたくない勝手口 落合文彦
台風を案じてくれる子の電話 鈴木裕子
鞍馬天狗で遊んだ友の腰曲がる 長谷川健一
サッカーに押され相撲は土俵際 水野 二
叩き手でリズムが変わる鐘太鼓 竹口みか子
涙目は孫の得意な泣き落とし 瓜生晴男
神様の凄さを覗く顕微鏡 加藤吉一
八分目食べてすぐには箸おけず 安田聡子
築五十年震度3なら耐えられる 芦田敬子
パワハラを受けることない停年後 圦山 繁
七色の声がまだ出るおばあちゃん 鍋島香雪
シャボン玉みんな行きたい場所がある 小出順子
ときどきはいい夢をみるアイマスク 鈴木章照
鉛筆がチビて川柳家のひとり 高柳閑雲
教会の中に生まれている派閥 川喜多正道
お出迎えハグが似合ったエアポート  石崎金矢
ちっぽけな町ちっぽけなレストラン 柴田比呂志
老人もコーチ次第でやる気だす 加藤峰子
え・い・え・ん・と中間貯蔵ルビが見え 佐藤彰宏
血圧を上げる元気は衰えず 西野恵子
コロッケのちあきなおみに救われる 青砥英規
冷蔵庫も私も老いてきたらしい 岡ア美代子
母の肩顎をのっけて抱きついて 神野優子
手鏡の顔に容赦のない月日 外浦恵真子
高級なブラジャーを買う無職です 寺田香林
お姫様だっこ目指してダイエット 瀬田明子
お茶を飲むだけじゃ会話も進まない 前田須美代
自分史を飾る自分にまだ逢えぬ 鶴田美恵子
老いは現実あなたあなたが出てこない 水谷一舟
ワープロで書いてもわたくしは私 吉崎柳歩
のんびりとしても充電まで行かず 青砥たかこ
 

整理・柳歩

川柳 人と句30「北山まみどりさん」                                                                                 たかこ


ふと耳にやさしくおりてきた訃報
見送ってまた増えました守るもの
咲いて散る順番なんかほしくない
盛装の片すみにある涙あと
待ちぼうけピエロだったと気づくまで

明るみに出てからおぼつかない声
優しさの欠片が悪さするのです
一呼吸おいたらきっと見つかるね
手袋にぎっしりつめた青い月

けんかならはっきり言える向き合って
順調に太っています見においで
笑わなきゃもっとどんどん太らなきゃ
歌姫になってあなたを眠らせる

あなたから一番遠い指定席
真っ直ぐな道で迷ってばかりいる
わたくしを見ると感電するみたい
最大の武器かも知れぬ無関心

人見知りしたことのない私の胃
デザートに私を所望したの誰
わたくしを点灯します覚悟して
傷口ではしゃいでしまう癖がある
明日には思い出になる風になる
 

7月26日(土)例会より
宿題「移す・移る」 吉崎柳歩 選と評
  口移しで親からもらうピロリ菌 竹口みか子
  目移りの果てに似合わぬ服を買う 西垣こゆき
 止 二枚目の舌に移している話題 坂倉広美
 軸 移り気な人で俳句に変えた趣味 吉崎柳歩
宿題「今」(共選) 圦山 繁 選
  今もってできたことない逆上がり 橋倉久美子
  つまずいて自分の過去を振りかえる 加藤けいこ
 止 今丸く生きることばを使い分け 水谷一舟
 軸 好戦の虫今がチャンスと躍り出る 圦山 繁
宿題「今」(共選) 坂倉広美 選
  たった今咲いた色している造化 橋倉久美子
  美しい今を鏡にとじ込める 青砥たかこ
 止 今聞いた噂早速メールする 北田のりこ
 軸 百均へ「今」を書く筆買いに行く 坂倉広美
宿題「自由吟」 青砥たかこ 選と評
  少しだけ洗いたくなる無洗米 芦田敬子
  上書き保存昨日の私消しておく 芦田敬子
 止 パソコンに代筆頼むお詫び状 芦田敬子
 軸 どの写真見ても気にいるものがない 青砥たかこ
席題「回る・回す」(互選)
10点 告白はできずに降りる観覧車 橋倉久美子
 7点 泣き顔で回り続ける寿司もある 加藤吉一
  増税が福祉に回らない政治 川喜多正道
  パラソルを回すと貴婦人になれる 青砥たかこ
 6点 回り道勝手にできぬ抗議デモ 吉崎柳歩
  回覧板いつもの家でひと休み 加藤けいこ
 5点 逆回りしたら意外な人に逢う 北田のりこ
  裏口に回れば見える家の垢 芦田敬子
 
特別室

 地名依存反対                                       清水 信

 地名を知れば、歴史がわかる。
 それはそうだが、そんな歴史なんて、封建時代にべったりの奴隷的史実で、何の面白さもないものが多い。

 例えば、小生は神戸町や地子町に住んでいたが、神戸はかんべ、ごうど、こうべと読んだりするが、概ね伊勢神宮に米麦や農産物を納めた所という意味、地子町は、そのため地税を免除されたという土地、さらに現在十宮町に住んでいるが、これも神宮配下の分社が数個あっての誇張表現である。すべて、神宮の下請工場を現わすだけで、何の面白味もない。
 一ノ宮は全国に何百と存在し、弘法大師がその下で休んだという杉の木や、腰かけて一服したという石は、全国に五万とある。みんなウソと言って良いが、その庶民の隷属意識がイヤだ。

 中日出版社の出している、地名考を軸にした愛知県内の地方史を50冊ばかり持っているし、鈴鹿の地名考の著作も数点持っているが、そこに愉快やユーモアや、未来志向の解説を読むことは、殆んど無い。神宮や斎宮や、天皇や城主や豪族への帰属意識の濃厚な名前付けを見て失望する。

 先日も、四日市市采女町に住む清水弘子君から、采女町史を贈られたが、彼女は采女という地名を「実に典雅な名前として愛着久しい」という前書きで、その文化面の執筆をしていたが、果してそうか。
 采女というのは、鈴鹿市にもあるが、端的に言えば、天皇のオメカケだろう。普通で四、五名、多いのは二十人から三十人、歴代の天子を抱え込んでいて、それを差し出した地方を采女というのである。のちに彼女らの食料をまかなった土地のことも指した。

 また、青砥たかこ君と共に、鈴鹿市文芸賞の選考に当っている歌人の橋本俊明君が、地元で「玉垣史」を作るので、千代崎中学にいたころの小生のことを書いても良いかという問い合わせがあって、「どうぞ、ご勝手に」と答えた。
 その中学には、俳人の山田実、梶長之助、吉田利一、歌人の喜田英一、文芸評論の小生、奥野剛正、岡正基、小説の樋口祥己、伊藤伸司など文人趣味の人々が蝟集していた時期があったのである。しかも、小生の当直の晩に、放火で校舎が燃えたのであった。
 しかも玉垣という地名も、斎宮直属の土地を現わしていると言われる。

 地名から説かれる歴史に、そっぽを向けていた方が健康だが、一丁目、二丁目という言い方は、更にイヤだね。

                                                                           (文芸評論家)

誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票『自信』  応募86句
 1 4  庭石にされて自信を持った石 吉崎柳歩
 1 2  自信のない手は真っ直ぐに挙がらない 加藤吉一
   さりげなく自信をくれたほめ言葉 福井悦子
  0点  まだ自信有るがと返す免許証 水野 二
    9点  間違って持てば自信も危険物 濱山哲也
    8点  安倍総理だけが自信に満ちている 岩田眞知子
      自信のないところに掛けている保険 尾アなお
       終電車に昼の自信を置き忘れ 坂倉広美