目次31年2月号
巻頭言 「文明と幸せ」
すずか路
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・川柳つれづれ
・人と句「小川加代さん」
・例会
・例会・例会風景
・没句転生
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
・インターネット句会
誌上互選
・ポストイン
・エッセイ・その他
・大会案内
・編集後記

 


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巻頭言

「文明と幸せ」

 蛇口を捻ればお湯が出る生活、雨が降ろうが槍が降ろうが、車でどこにでも行けるようになってから何年経ったことだろうか?
 文明生活を享受できることが幸せの基準であれば、正に今、幸せの極致にいるのかも知れない。季節は大寒の真っ最中である。暦の上で立春になっても、まだまだ寒さからは解放されないが、夜は電気毛布で寝て、目覚めればお湯で顔を洗うことができる。トイレに座れば便座は温かい。お尻も温水で洗ってくれ乾燥までしてくれる。スマホを持てばどこからでも通話でき、ネットで位置情報まで共有できる。

 物心が付いたころは竈があって、燃料は薪であった。水道が引いてあったかどうかは定かではないが、洗濯は文字通り井戸端で、盥に洗濯板であった。
 新しい社宅に移ってから、共同の風呂場と餅つき小屋ができた。年末、餅つきの最中、長兄(後に次兄も)が帰省してきたものだ。そのうちに竈は石油コンロになり、氷で冷却する冷蔵庫も設置された。フィラメントの電球は蛍光灯に代わったが、トイレは相変わらず汲み取り式であった。
 子どもの遊びは春夏秋冬戸外が中心である。鬼ごっこ、凱旋、助け船、相撲、ソフトボール。とにかくよく走った。今の子どもの何十倍もの運動量だっただろう。記憶の中にある遊びには、時代劇の中でも見るものがある。その時代まで伝承されていたのだろう。
 
 過去は美化されるものだが、そのころに少年時代を過ごすことのできた私たちは、今の子ども達より遥かに幸せだったとは言えよう。科学文明は、人間の暮らしを便利にするという意味では、幸せに大きく貢献するものではあるが、失うものも大きい。原発や核兵器が、人類の生存そのものを危うくする怖れがあることはさておき、人間が人間であることの根本まで脅かしつつあるのではないか? ロボットやAI、情報機器が進歩するほど、それらに頼らないことから得られた情緒はもちろん、日々、能動的に生活する身体機能まで奪っていくのではないか?
一度手にした文明の利器は、もう手放すわけにはいかない。我々は何処に向かっているのだろうか?

                                          柳歩

 
すずか路より
人生の延長戦に笑いあり 神野優子
大寒の朝も流れる寺の鐘 上村夢香
また今日も葬儀屋さんにつく灯り 前田須美代
太陽を猫一匹が独り占め 佐藤近義
酒おでん冬の男の常備薬 坂 茜雲
初詣で私ここよと背伸びする 大川里子
赤と白自分で混ぜてロゼ作る 岩谷佳菜子
親送り今度は叔母に頼られる 西垣こゆき
ゆっくりと朝寝ができる老いの日々 松岡ふみお
午後六時もう戦列へ戻れない 坂倉広美
真剣に終の棲家を思案中 勝田五百子
重箱に詰めそれらしくするお節 橋倉久美子
添え書きに時間がかかる年賀状 北田のりこ
ともかくも天満宮の梅香る 河合恵美子
元旦も働く人がいて回る 中川知子
ロボットが情を出せるのかが勝負 落合文彦
日産の蜜を吸い取りたいルノー 毎熊伊佐男
嫌いとは言える好きとは言いにくい 寺前みつる
こわばりを癒してくれる女(ひと)に会う 奥田悦生
元気です愚痴が明るくなりました 村井一朗
子ら送りやっと一人のお正月 鈴木裕子
いつまでも新年の花似合う家 長谷川健一
宮古から遠野の道は工事中 竹口みか子
正月は朝昼晩と酒づくし 瓜生晴男
平成後の夢は見ないで逝った友 加藤吉一
私から優しい言葉逃げていく 安田聡子
元旦に出会う人にも年賀状 芦田敬子
雑草のような粘りはでない古稀 圦山 繁
ゴミ箱はストライクしか受け付けぬ 千野 力
新年の誓い七日でほころびる 西川幸子
休日がパジャマ姿で過ぎてゆく 小川はつこ
もぐもぐタイムばかり取ってる日曜日 小出順子
メガネにもGPSが欲しくなる 川喜多正道
靴下の穴もだんだん派手になる 柴田比呂志
潤いが欲しい八十路の真ん中で 竹内そのみ
トンネルは想像よりも長かった 樋口りゑ
敵ながら大人の顔に魅せられる 眞島ともえ
欠席が続き死んだと思われる 石崎金矢
葬儀代値切る人などいてもいい 高柳閑雲
洋間にも似合う日本のカレンダー 福村まこと
干し大根もだんだん妻のようになる 佐藤千四
仲直りさせる背中の貼り薬 西野恵子
湯タンポを抱くと亡き猫思い出す 瀬田明子
洗車する手間を省いてくれる雨 西山竹里
死者想う一日雲は低いまま 日野 愿
ガラクタは捨てて死んで子に言われ 岡ア美代子
ラスカルのようには飼えぬアライグマ 澁谷さくら
後期高齢まだいくばくかある闘志 吉崎柳歩
五千円ATMよなぜ出せぬ 青砥たかこ
 

整理・柳歩

1月26日(土)例会より

宿題「餅」 橋倉久美子 選と評
   飲兵衛も赤福餅は好きらしい 青砥たかこ
   プラスチックゴミまで増やす鏡餅 芦田敬子
 止  ルンバでは多分取れないのどの餅 加藤吉一
 軸  どの餅を食べるか迷う伊勢参り 橋倉久美子
宿題 共選「引く」 加藤吉一 選
   紅少し引く気になった病みあがり 鈴木裕子
   気恥ずかしい言葉に線が引いてある 橋倉久美子
 止  食いざまを見てから恋の熱が引く 佐藤千四
 軸  引き抜いて捨てたい胸にある記憶 加藤吉一
宿題 共選「引く」 西垣こゆき 選
   身を引いて静かな日々を取り戻す 上村夢香
   いさかいが尾を引き恋が陰りだす 澁谷さくら
 止  「引いちゃダメ」書いてあったら引いてみる 竹原さだむ
 軸  引く事も大事と知った開かぬドア 西垣こゆき
宿題「自由吟」 青砥たかこ 選と評
   「瓜坊」と呼ばれた過去もありました 芦田敬子
   獺祭は飲み放題に含まれず 吉崎柳歩
 止  一人では盛り上がらないイチゴ狩り 川喜多正道
   都合よく高齢という隠れみの 青砥たかこ
席題「印象吟」(*将棋盤と無造作に置かれた駒)  清記互選 高点句
 6点  恐竜が暴れた後の大都会 小出順子
 5点  へぼしょうぎにも黙って耐える将棋盤 小川はつこ
 4点  飛車角を取られたように妻が逝く 吉崎柳歩
   駒のため動かずにいる将棋盤 川喜多正道
   勝負師は低い山など登らない 青砥たかこ
   盤の上でパチンパチンと躍る駒 中川知子
   子ら巣立ち埃かぶった将棋盤 鈴木裕子
   昼下がり将棋の駒もだらけ出す 橋倉久美子
誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票 『脆い』  応募102句
  17点  脆いのは承知百均なんだから 水野リン子
  15点   全線を止めた架線のポリ袋 満月庵
  11点   天災でライフラインの脆さ知る 圦山 繁
      歯車が狂うと脆い大都会 西山竹里
     脆いので刷毛でやさしく掘る遺跡 北田のりこ
     肩書が取れた男の脆い背 鈴木由美子
   8点  お金にはからきし脆い主義主張 濱山哲也
    放し飼いされると脆い模範生 福村まこと