目次27年2月号
巻頭言 「 引き際と往生際」
すずか路
・小休止
・柳論自論「課題詠の文芸性」
・没句転生
川柳・人と句「 竹内ゆみこさん」
・例会
・例会風景
特別室
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・インターネット句会
・ポストイン
・エッセイ・あしあと
・大会案内
・年賀広告
・編集後記

柳歩
柳歩整理

柳歩
柳歩
たかこ


清水 信さん
久美子
丸山 進さん


たかこ


 
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巻頭言

「引き際と往生際」 

 十六年間の宮仕えを経て三十五歳のとき脱サラ。社会保険労務士として三十五年間、糊口を凌いできたが、昨年末をもって廃業することにした。   五十四歳のときに「名古屋番傘川柳会」の同人になり、次いで、「鈴鹿川柳会」、「川柳展望社」の会員になった。 鈴鹿川柳会の会長補佐になり、会の運営と会誌の編集、発行と、川柳が急速に忙しくなった。その頃にはジョギングは細々と続けていたものの、市民レースなどへのエントリーはしんどくなってきた。趣味の山登りも徐々に遠ざかり、還暦のころには川柳のほうに没頭するようになった。仕事(顧問先)を減らして古稀までに廃業し、川柳に専念したいと思うようになった。

 社会保険労務士のような士業は、後継者がいれば実務はそちらに任せアドバイザー的立場で職務に携わり、なければ顧問先を減らして、かなりの高齢まで現役でいることも可能だ。しかし、顧問先の社長も代替わりするし、役所の担当者なども、息子よりも若い世代になっていく。彼らにとっては、実務上のミスも増えたり、加齢臭?などもあって、老害だと感じられてもくるだろう。私自身、五十歳前後のころは、七十歳をとっくに超えたような社労士を見て、いい加減に辞めたらどうなのか、などと思ったものだ。

「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」 実務の正確さ、法律などの変化への対応能力などにおいては七十歳が限度であろう。ましてや私には川柳の「職責」もある。引き際を綺麗にすることは顧問先への礼儀でもある。とは言え、その川柳活動も、せいぜい後十年である。その十年も健康で元気でいたいと思う。自分の「川柳的衰え」を自覚したなら、選者も返上すべきと考える。
 ただし、この世からの引導を渡された時には、人目もはばからず「嫌だ嫌だ」と泣き喚いてもいいことにしたい。高僧だってそうなんだから。

         引き際と往生際はやや違う  柳歩
                                        柳歩
            

 

すずか路より
転び方下手で傷だらけのハート 西野恵子
噛みついてこないか聞いてから撫でる 青砥英規
延命は不要と記す母の文字 瀬田明子
制限速度越えて貴方に会いに行く 外浦恵真子
マニキュアを落として向かう三回忌 寺田香林
迷うだけ迷って甘くなるバナナ 尾アなお
焦らされてケイタイにらむ待ちぼうけ 岡ア美代子
乱筆は心の今の鏡です 上村夢香
前向きの意見が欲しい吊るし柿 神野優子
予約済みですかあなたもフグサシも 前田須美代
父の日の酒だ毒でも盛られそう 水谷一舟
作り雛作った人の顔に似て 小川のんの
病人の顔色ながめ今日は晴れ 石谷ゆめこ
新札が紙切れみたいお正月 岩谷佳菜子
廃屋の南京錠にある歴史 西垣こゆき
ない物に躓き杖に助けられ 松岡ふみお
ほんとうの名前は言わぬひとり旅 坂倉広美
無人駅にもちゃんとある喫煙所 橋倉久美子
箱に箱入れ子のように溜める箱 北田のりこ
「まあいいか」ぬるい幸せだってある 河合恵美子
忘れ物届けてくれる人はいる 落合文彦
許すのも許さないのも神らしい 毎熊伊佐男
あちこちで呼んでる朝の電子音 鈴木裕子
蟹にも海老にも逢わず正月過ぎていく 長谷川健一
初詣で願い事なくただ参る 水野 二
旅プラン休みが合わず練り直し 竹口みか子
元日から体調不良寝正月 瓜生晴男
公約を無視できるのも多数決 加藤吉一
二人だけ遠慮はいらぬ朝寝坊 安田聡子
名画より孫の絵が合う家の壁 芦田敬子
なんとなく歩んでいます楽な道 圦山 繁
その顔は本気でないと見抜かれる 鍋島香雪
考えてどうなるわけでないけれど 小出順子
慎重に忍者歩きで雪の朝 鈴木章照
しがらみの新年会が六つほど 高柳閑雲
解らぬと分かっていても読むピケティ 川喜多正道
わが家にもLEDを点けてみる 石崎金矢
男子力上げる糠みそ掻き混ぜて 柴田比呂志
さよならの後の心は日本晴れ 加藤峰子
鈴之助もイガグリ君もお友達 吉崎柳歩
微調整しているうちに仲直り 青砥たかこ
 

整理・柳歩

川柳 人と句36「竹内ゆみこさん」                                                                                 たかこ


レム睡眠から

触れないでください情が移るから
ああそうかそうかと水になってゆく
こんにゃくの素質も少しおありです
残念賞を袋いっぱい持ち帰る
地球が揺れるすこーし跳んだだけなのに

ブラジルに届いてしまうほど笑う
恵比須顔ですがいろいろございます
結び目をゆるりゆるりと解いて春
ちぎれ雲ゆずれぬことがあったのね

空くことのなかった席が空いている
右側の群れに目の合う奴がいる
赤信号に悪気はないと思います
こっそりと泣くのが上手い姉である

ほっとするおんなじとこにいてくれて
字余りが続く 眠れぬ夜になる
裏側もびっしり書いてありました
一通り鳴らして帰る楽器店

解剖をされたらばれてしまいます
いい日だな特筆すべきことがない
窓を描く息がしやすくなりました
レム睡眠のときでよかったなと思う
青空をギュッとつかんで立ち上がる

 

1月24日(土)例会より
宿題「タイヤ」 橋倉久美子 選と評
  でこぼこ道をたまには走りたいタイヤ 青砥たかこ
  タイヤ交換するほどでないポンコツ車 坂倉広美
 止 車検まで持たそうツルツルのタイヤ 吉崎柳歩
 軸 タイヤには小石 私の歯にスルメ 橋倉久美子
宿題「縫う」(共選) 岩谷佳菜子 選
  ほころびを縫うより辞表出す余裕 加藤吉一
  雑巾を縫う為だけにミシン買う 芦田敬子
 止 縫いつけてやりたいような減らず口 吉崎柳歩
 軸 縫い上げを外す喜び母ごころ 岩谷佳菜子
宿題「縫う」(共選) 坂倉広美 選
  家庭科で縫ったエプロン宝もの 岩谷佳菜子
  ほころんだ星を縫ってるボランティア 小出順子
 止 L寸の袖口縫い込むお気に入り 鈴木裕子
 軸 しっかりと縫われて離れられぬ仲 坂倉広美
宿題「自由吟」 青砥たかこ 選と評
  寝正月許してやると積もる雪 圦山 繁
  守備範囲では侮れぬ紙コップ 吉崎柳歩
 止 少しずつ体のどこか減ってくる 石谷ゆめこ
 軸 よそ様の訂正を見てホッとする 青砥たかこ
席題「見る」(互選)
13点 おしまいにしたくて時計見るしぐさ 北田のりこ
12点 うっとりと見ていたことに気づかれる 橋倉久美子
 8点 見落としはないかと見てるはずれくじ 小出順子
 6点 好物の看板ばかり目に入る 西垣こゆき
  見つめられることには慣れている鏡 橋倉久美子
  肩書きを見てから変える椅子の位置 坂倉広美
 
特別室

 チャックでいこう                                      清水 信

 近隣諸国が悪るすぎると、嘆いている日本人は、多いだろうが、政治家をぬきにして、仲良くしたいものだ、その国々との共通項は、かなり多い。それだけ歴史は好関係を保証しているのである。文字が共通の単語もあれば、音が等しい言葉も多く、生活習慣の差がほとんど無いものだって、ある。

「キムチ」が日本語として定着しているように、「おでん」や「やきうどん」や「そば」は韓国でも通用する。
 さらに「ガソリンのまんたん」も台フキの時の「おしぼり」も共通している。カラオケ好きも共通で、韓国では「ノレバン」というが、もちろん「カラオケ」でも通じる。アニメやドラマ、ネットもほとんど共通語である。
「さよなら」や「ありがとう」と同じくらいに「もったいない」が通じるようにもなっている。

 台湾や中国でも、同じように日本語の進出はすさまじい。「いわし」はロシアでも魚のいわしの名であり、ロシアから来た「いくら」は魚の卵全体を指すのだが、日本でも間違った使い方をしているわけではない。
「カステラ」「コンペイトウ」のように、長崎で早くから日本語化した物もあれば、カバンのチャックのように、日本から輸出したものもある。

 世界は仲良くなれるように、出来ているのである。何か事を起さねば、国としての存在理由がないと思ったり、威厳が保てないと思う方が間違っている。
 川柳はすでに台湾で市民権を得ているが、韓国でも流行する兆しがあるという。それは民族友好のためにも良いことだと思う。釜山で『川柳すずか』が読まれる時がくると想像するだけでもうれしいではないか。

 津の文学研究会の時、名古屋から参加した『北斗』の竹中忍さんから「先生、社会の窓が全開ですよ」と注意された。この頃、そんな事が多い。ゆるくズボンをはく習慣にしたからである。
 ファスナー、チャック、ジッパー、いずれも慣れた呼称だが、スライドファスナーが正式名。それを縮めてファスナーと言う。ジッパーは下げる時の音「ジップ」からきた別名。

 そして「チャック」は日本が原産。昭和2年、広島県で製造を始めた会社の名がチャック社で、そこから、この名が出た。
 しかし、チャック社では「きんちゃく」から、その社名を起したと言われて、阿然とする。言葉のユーモアを大事にして、異国と仲良くしていきたい。

                                                                          (文芸評論家)

誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票『乏しい』  応募86句
 1 7  経験の乏しい医者が切りたがる 福井悦子
 1 2  危機感が乏しく家で眠る票 西山竹里
   9  人材が不足している国技館 岩田眞知子
    7点  ふさわしい言葉なかなか出てこない 川喜多正道
     食材は乏しい腕の見せどころ 青砥たかこ