目次01年10月号
巻頭言 「一文字の攻防」
すずか路
・小休止
・川柳つれづれ
・人と句「案山子を読んで3」
・例会
・例会風景
・没句転生
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・インターネット句会
・ポストイン
・エッセイ・その他
・大会案内など
・編集後記

 


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巻頭言

「一文字の攻防」

 
前回に続いて『たかこの世界5』にエッセイを書いた。
八月の上旬、たかこさんから「書いてくれるのなら、とりあえずタイトルだけでも教えて」とメールがあったので、すかさず「マッチ売りのおじさん」と返事をした。実は、『川柳すずか』八月号の瀬田明子さんの「すずか路」の句、         「マッチ売りの少女」のマッチ知らぬ孫   を見て思いついたタイトルだったのだ。

 『たかこの世界』では、たかこさん本人は字数無制限の長編(?)小説であるが、引き立て役である我々のエッセイは、一行24字×80行の制約がある。川柳は十七音しかないので、言いたいことを一つに絞る、つまり「一句一章」が作句の要諦であるが、千九百字余りもあれば、「書きたいこと」の幾つかを書けそうだ。

 小説もエッセイも散文であるが、エッセイは事実、あるいは体験に基づいて書かれる。エッセイと随筆の違いについて問われると困るが、強いて言えばエッセイは川柳に似ていて、随筆は俳句に似ている。いわゆる個性の発露ということではエッセイの方が川柳に近いと思う。

 エッセイなら書きたいことを取捨選択できるが、「一番書きたいこと」は動かない。書き方の定石としては起承転結であるが、その「結」に持って行くまでが勝負である。「起承転」に幾つかのエピソードを散りばめたが、全体の制約があるのでその数も限られる。川柳で言えば「意味重なり」のような事象は論外だが、「想いを伝える」「記録を残す」には入れておきたかったこともある。24文字の、あと一文字を減らせられれば次の一行が使えるのにと、泣いて馬謖を斬ったものである。

 そう言えば、私は毎月「一文字の攻防」を繰り広げているのだった。「没句転生」である。「原句」と「転生句」の間に一行二十六文字のコメントを入れているが、ここにも熾烈な「一文字の攻防」があるのだ。

                                          柳歩

 
すずか路より
川柳の色紙こそばい御家流 藤村洋子
ベビーカーに子犬まで乗る散歩道 恵利菊江
訪日の孫に銭湯図解する 福村まこと
手打ち蕎麦とてもきれいな主の手 佐藤千四
できちゃった婚が歓迎されるのも時世 西野恵子
お湯割りかハイボールかで迷う頃 瀬田明子
不都合な歴史黒塗りする日本 西山竹里
共犯に厚く配慮をして組閣 日野 愿
いらっしゃい野菜料理でおもてなし 岡ア美代子
台風の通ったあとに残る傷 竹原さだむ
夏と秋入り混じる絵の尾瀬をゆく 澁谷さくら
もう一人息子出来たよハイピース 神野優子
とんぼまでそっと寄り添う墓参り 上村夢香
会いたくなるからお返事は要りません 前田須美代
あんなもの誰に見せたいへそピアス 佐藤近義
わしゃ嫌だ元を取れないバイキング 坂 茜雲
着飾ってランチはデパ地下の試食 大川里子
モガとモボと言われたらしい母と父 岩谷佳菜子
老々介護元気な方が頼られる 西垣こゆき
影を追い影が追い越す赤とんぼ 松岡ふみお
伝書鳩ではないお隣の屋根の鳩 坂倉広美
転んだら終わりと医者が念を押す 勝田五百子
特急で行く大阪は遠くない 橋倉久美子
秋風と共に戻ってきた気力 北田のりこ
夜空に咲いた花に付けたい花言葉 中川知子
名月と真面目な話しかできず 河合恵美子
体重計正確だとは思えない 落合文彦
くたびれたらジタバタせずに横になる 毎熊伊佐男
断捨離の対象引っ越しの荷物 村井一朗
何もなかったような顔して帰宅する 奥田悦生
お金には縁のない人だけど好き 寺前みつる
絵手紙に残しておこう親子茄子 鈴木裕子
ちょっと早いが時間ができて大掃除 竹口みか子
秋の海静寂続く波の音 瓜生晴男
原発事故あれで無罪か責任者 加藤吉一
草取りのないマンションに住みたいな 安田聡子
広い海さんまは何処へ行ったやら 芦田敬子
アリ一匹死んでも列は乱れない 圦山 繁
財布締めイオンタウンを夕涼み 西川幸子
今日は未だ夫の顔を見ていない 小川はつこ
棚経が演歌のように聞こえます 長谷川健一
一日で終わるデンタル物足りぬ 小出順子
通販で買うたび増えてくるメール 川喜多正道
星の降る夜も百回のスクワット 柴田比呂志
ヘンクツと言われているが好きな人 竹内そのみ
ドラレコを付けていますと貼るシール 樋口りゑ
ラグビーに開眼趣味がまたひとつ 眞島ともえ
反抗の姿勢無口を押し通す 小林祥司
叱られて立ってるわけじゃない案山子 吉崎柳歩
本棚で鮮度が落ちてゆく活字 青砥たかこ
 

整理・柳歩

9月28日(土)例会より

宿題「心」 青砥たかこ 選と評
   昨日まであった心がない棺 坂倉広美
   心までAEDは救えない 小出順子
 止  心見えたら揉め事増えそうなこの世 北田のりこ
 軸  虫喰いの心日光浴させる 青砥たかこ
宿題 共選「責める」 樋口りゑ 選
   終らないあなたのためという小言 北田のりこ
   再稼働きっと未来に責められる 吉崎柳歩
 止  男前過ぎて男に責められる 毎熊伊佐男
 軸  奪い合う責任という塗り薬 樋口りゑ
宿題 共選「責める」 毎熊伊佐男 選
   責めないでこの子は奥手なんだから 鈴木裕子
   責められてとうとう「ハイ」と言いました 鈴木裕子
 止  うっかりをここぞとばかり責められる 橋倉久美子
 軸  男前過ぎて男に責められる 毎熊伊佐男
宿題「自由吟」 吉崎柳歩 選と評
   花入れる余地は残してある棺 日野 愿
   雨天中止決めたら止むと困る雨 北田のりこ
 止  ご期待に沿えないことが多い絵馬 西山竹里
   戦いに敗れたようなちぎれ雲 吉崎柳歩
席題「困る」 清記互選 高点句
10点  細かいお金準備して行く世話係 鈴木裕子
 9点  細かいこと言わぬ夫で手抜き家事 北田のりこ
 6点  近づいて気づいたネクタイの模様 樋口りゑ
 5点  けし粒のような種にもある命 橋倉久美子
   手に取って字が細かいとスルーする 西川幸子
 4点  細やかに生きていますのケチじゃない 青砥たかこ
   シャベルより細かい耳掻きの仕事 吉崎柳歩
誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票 『 狂う 』  応募104句
  15点  狂ってもそう困らない腹時計 吉崎柳歩
  12点   もう少し狂うと正常に戻る 坂倉広美
  11点   老人のアクセル時に狂いだす 佐藤千四
      エアコンのおかげ狂わず生きている 安田聡子
    9点   狂いたい時もあろうに蟻の列 西野恵子
      昇進の序列が狂う天下り 福村まこと
   8点  時差ボケをさらに狂わす機内食 福村まこと
     投資した時から狂い出す老後 川喜多正道
     一億玉砕みんな狂っていた日本 吉崎柳歩